非日常的な感じがよかったですおすすめ度
★★★★★
カラフルなカバーと冒頭に惹かれて手にとってみました。
凌一の息子・彰と同じ「のっぺらぼう」の症状(?)を持つ凌一のお兄さんの視点から過去を語るような形で話が進んでいきます。
普段普通の日常的な話ばかり読んでいた私にとって、こういう非現実的な話は目新しく、最後までワクワクしながら読むことが出来ました。
先の展開が全く読めないところが良かったです。
友達や家族、近所の人たちの存在の温かさ、有難さを改めて感じさせられる作品でもあります。
最後、全てが明らかになるところがよく解らなくてやや残念でしたが、最後までスリリングで、ちょっと不思議な雰囲気を楽しめました。
心根のよい物語おすすめ度
★★★★☆
20年も姿を隠したままの兄との再会によって、謎が解きあかされていきます。「ぼく」・凌一が出だしを語りますが、ほとんどは兄・恭一(39歳)のモノローグによって、一部始終が語られていきます。“のっぺらぼう”がキーワード。そこに、かつて住んだ町での不可解な出来事が重ねられて、謎が謎を呼び、最後まで引っぱっていきます。当然、子供時代の話ということになり、時代は昭和30年代~40年代に設定されています。どこかノスタルジックで、のんびりしたトーンが、却って好ましく思えました。(これは、私が生まれ育った時代と重なっていて、理解しやすかったせいかもしれませんが)
一風変わった町で、起こる事件。しかし、昭和30~40年代の頃なんて、本当にまだ、どこもよそに対しては閉鎖的な感じだったことを考えれば、この物語の町の性格は、不思議でも何でもなく、小路氏はよく特徴を掴んでいると思います。
兄の語りが、読み手を引っぱっていくのですが、謎解きにかかって、少し性急な感を受けます。謎に関わる者が「三者」である、としかここでは言えないのですが、その三者を読み手が理解するための、兄の語りが、少々回りくどいのかもしれません。が、心優しく、愛や人を信じる気持ちが真っ直ぐで、“謎”に関すること以外は歪んだところのない、この『空を見上げる古い歌を口ずさむ』は、ほっと温かな気持ちを連れてきました。次に繋がる伏線の要素もうまいですね。
”皆がのっぺらぼうに見える”って…おすすめ度
★★★★☆
皆の顔がのっぺらぼうに見えるって、どういうことだろう…
まず初めにそのことについて考えてみました。
話の展開が少しわかりにくいなーと感じるところもありましたが、
とても不思議な感覚にとらわれ、夢中になって読んでいました。
最後の締めくくり方がイマイチはっきりとせず、少し難しくも感じました。
しかし、とても興味を持ったまま最後まで読むことが出来ました。
普通とは少し違った雰囲気を醸し出しているので、普通のストーリーに飽きてしまった、
という人にオススメしたい一冊です!