ハワイイ紀行 完全版 (新潮文庫)
自信を持っておすすめいたします!私は現在、マウイ島に住んで11年になります。
この本の99ページから127ページ「タロイモ畑で捕まえて」に登場する人物や場所もよく知っていますし、よく会います。
著者の池沢夏樹さんは本当に、よく"本物のハワイ"を研究されていると感心いたしました。
ハワイの文化や風土、歴史を正確に伝えてくれようとしてくださっている「語り部的な本」だと思います。自然と生命に対する畏敬の念がわき出てくるような本です。ここまで詳しくハワイ文化を紹介した本は今までに読んだことがありませんでした。
この本を読んで、マウイという島に住んで、毎日、自然の恵みのなかにいられることを改めて感謝するようになりました。
どうぞ、"本物のハワイ"を感じてみたい方、ぜひ、「ハワイイ紀行」を読んでみてください!
また、ハワイに旅行されるときには、どうぞ、持参してください。
必ず、読んできて良かったと思いますよ。
木下牧子混声合唱作品集
池澤夏樹の詩集『塩の道』から抜粋された5篇の詩で構成されている『ティオの夜の旅』の第4曲目「ローラ・ビーチ」に寄せて・・・・。
とても抒情的な曲です。過去の多くの合唱曲と比較しても比類のないほどの美しいメロディーとハーモニーを持った曲です。池澤夏樹の詩は、海に関わる言葉を印象的にかつ象徴的に並べ、悠久の時の流れをゆっくりと紡ぎだしています。
自然が創り出す神秘の世界をかくも詩的に表わした池澤夏樹も素晴らしいですが、それに流れるようなメロディーを与えた木下牧子により、ハッとする美しさを持った合唱佳曲が誕生しました。ピアノ・パートがその音楽の美しさに彩りを添え、華やかさを増します。ただ、特に、大切な箇所は、ア・カペラで歌われます。このコール・ソレイユは良く歌っています。学生合唱団としては本当に一生懸命で若々しさが溢れています。
それにしてもセブンスやナインスといった複雑で上品なコード(和声)進行が本当に聴いていてもうっとりとするくらいですから、歌う人の気持ち良さはまた格別なのでしょうね。
そして、この「ローラ・ビーチ」に続く終曲「ティオの夜の旅」の圧倒的なスピード感と迫力。木下牧子のお得意の変拍子がここでも効果的に使われています。
ただ、実際、これをうまく歌いこなすのは難しいでしょうね。流石にテノールも地声が目だったり、音程が不安定だったりします。ライブ録音特有のキズもありますが、なにしろそのラストに向けての心の高まりは聴いていても惚れ惚れします。
この4曲目と5曲目の繋がりと対比が『ティオの夜の旅』の魅力を増加させています。それはこのCDでもよく理解できました。
第1曲目の厳粛な雰囲気を称え持つア・カペラの「祝福」と合わせて、この『ティオの夜の旅』が多くの人に愛されている理由がよく理解できます。
演奏の出来は、『方舟』の方が安定していますが、『ティオの夜の旅』も音源としてアマチャア合唱団のお手本になると思います。
ラストの「夢みたものは」は何回聴いてもジーンときますね、本当に名曲です。
原子力 その隠蔽された真実 人の手に負えない核エネルギーの70年史
エネルギー問題を語るとき、「私たちが必要とする電力を補うには原子力が必要不可欠」という前提を押し付けられてきた。
すなわち、次のような2択だ。
「原発を認め、現在の便利な暮らしを享受し続けるか。
さもなくば、原発をやめて、パソコンもテレビも捨てるか」
後者は実際選びようがなく、反対意見のある者も原発を受け入れて暮らしてきた。
それが大嘘だということが、本書でわかる。
原子力ありき、は刷り込みなのだ。日本を含め、原発を導入した国が欲しかったのは核兵器だ。
あるいは、原発を保有し、「核兵器をいつでもつくれる」と見せる、いわゆる「核抑止力」だ。
本書ではその軌跡が原爆の開発にさかのぼってわかる。
しかも、単なる資料の羅列ではなく、人間ドラマをからめてスリリングな読み物となっている。
最初の問いに戻るが、実際は、便利な暮らしを捨てず、原発も使わない道があるかもしれない。
それなのに、そんな選択肢はないかのように見せかけられてきたのだ。
代替エネルギーについては問題点ばかりが指摘されているが、原発の問題点と比較になるだろうか。
代替エネルギーにはチャンスが与えられてこなかった。
大いなるチャンスを与えられた原発の末路はどうだったか。
原発の賛否を考えるうえで、持っていなかった視点を得ることができた。
テオ・アンゲロプロス全集 DVD-BOX IV (永遠と一日/再現/放送/テオ・オン・テオ)
時間とは誰が考え出した概念かを考えた事がある人は多いはず。ほんの一瞬があなたの中では永遠でありずっとまわり続ける。現実と頭の中の現像と…。時間はたくさんのドットのつながりであり後ろに後ろに飛んでいきまた前に戻る。この映画は類まれな美しい映像と表現方法で言い表せない世界を作り出した、唯一の映画である。DVDになるのをもう十年くらい待っているがならないらしい…。
祝福/木下牧子:無伴奏作品集
木下牧子という人の作品を知らなくても、一度聴けばファンになってしまうこと請け合いの名曲揃いの素晴らしいCDです。演奏のシュッツ合唱団の正確なハーモニーも作品の美しさを最大限に引き出しています。是非ともこの組合せで続編を作って欲しいものです。