十字の物語 おすすめ度 ★★★★★
グリーンの傑作とも言うべき作品。この作品は、サラとベンドリクスが別れた「情事の終わり」から始まる。サラはある日、「愛は終わるものではありませんもの」という言葉を残し、忽然とベンドリクスの前から姿を消す。ベンドリクスは、サラが姿を消した真相を探るため探偵を雇う。探偵は、サラの紙屑箱に捨てられていた一片の紙を盗み出すことに成功するが、そこには恋人へと宛てられたと思われるサラの大胆な愛の言葉が綴られていた。サラの新しい恋人に嫉妬したベンドリクスは、彼を探し出すことを決意する。サラの新しい恋人は一体何者なのか?サラの別れの理由は一体何なのか?グリーンが仕組んだ意外な結末は、作品を読んでからのお楽しみである。情事という愛欲に耽っていた男女の「情事の終わり」から始まる物語、作品を読めばこの開かれた世界を感じることができるはずである。
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