僕は、この映画を大学時代に見ました。中学校が、キリスト教の学校でしたから、モーゼの物語には興味がありました。ストーリーは、旧約聖書の「出エジプト記」がベースでしたね。
ヘブライ人が、エジプトで奴隷だった頃の物語ですから、ずいぶん昔の話。しかし、中東戦争を紐解く鍵は、この頃がネックとなっていますから、歴史の勉強にもなります。エジプト王から追われ、紅海を渡る時に、海が二つに割れ、徒歩でヘブライ人が渡っていく映像と、それを追うエジプト軍が海に呑まれていくシーンは圧巻でした。当時では、最高の特殊技術だったのではないでしょうか。このシーンは、その後日本映画「大魔神」にも使用されました。
人類の最も偉大な指導者モーゼおすすめ度
★★★★★
本当の自由とはいったい何なのだろう?
エジプトに隷属しそれが当たり前のこととなっていたヘブル人。圧政に苦しむヘブル人をモーゼが助け出す。何処へ?砂漠のまっただ中へ?!
エジプトに留まれば雨風をしのぐ家屋と食べるものは与えられる。それでもモーゼは同胞ヘブル人たちをエジプトから連れ出していく。自由のために?信仰のために?神のご意思だから?
キリスト教徒の旧約聖書、ユダヤ教徒とイスラム教徒の教典に共通して登場する偉大な預言者モーゼ。天地創造の記録に続く「出エジプト記」が本作の原典である。
そして、人類最初の律法とも言える「十戒」は現代社会においても充分に通用する倫理・道徳規範である。
この映画に描かれているようないくつかの奇跡が事実でなかったとしたら、モーゼの偉業はありえなかったであろうことは明白である。これらの奇跡を行ったものはキャスティングすることさえ許されない「神」ご自身の力であったに違いない。
"Let My People Go!" (わが民を去らせよ!)これは、「燃える柴の炎」としてモーゼの前に現れた「神の言葉」である。
出エジプト!自由が生まれた日!!おすすめ度
★★★★★
この作品を観ていてつくづく思うのは、その時代時代に於いて、手を抜かずに作られた作品は、時代が移っても価値が褪せないということ。
サイレント版『十誡』の古代編のエジプト脱出の群集シーンのエキストラの数では『十戒』の方に分がある。しかし砂漠を往く群集の情景描写ではサイレント版の勝ち。同様にエジプト門前に集合した戦車の数でもサイレント版の勝ち。同様に砂漠疾走の戦車群の迫力は圧倒的にサイレント版の勝ち。若きC・B・デミル監督のエネルギッシュな演出の賜物。
紅海の特殊効果はどちらも現代のCGには全くない「味」があって宜しい。好みで言えばサイレント版の方が興味深い。紅海が割れる瞬間、閉じる瞬間、割れた時の描写等何回見ても、見飽きることが無い。実に不思議な映像である。何故こういう表現が当時可能だったのかは、映画史の「謎」にしておこう。一方『十戒』は役者の絢爛豪華さに尽きる。回り舞台のように登場する役者のスペクタクル!こんな映画滅多にありません。しかも意外に恋愛映画として観ても十分楽しめます。それにしても女の嫉妬は怖い!『十誡』は制作費180万ドル。『十戒』は1350万ドルといわれている。『十戒』の特撮ではシナイ山での火の柱が秀逸。楕円軌道を描いて岩に炎の矢先が突き刺さる場面のユニークな着想は白眉。モーゼもびっくり!!
サイレント版『十誡』の現代編もお見逃し無く。
豪華の一言
おすすめ度 ★★★★★
本当にお金をかけて作製したということがひしひし伝わる傑作。当時最高の特撮は現在のCGと比べて手作りの感がするが、出演者の力演と共鳴して、近年の見掛けだけのものに対して活きた迫力が感じられる。主演のC.ヘストンも力演しているが、彼以上にY.ブリナー、サー.セドリック.ハードウィック、そして特にE.G.ロビンソンの力溢れる名演が豪華大作に相応しくしている。また、テーマ曲も俳優陣を援護し、これだけ長い映画にもかかわらず飽きがこない珍しい作品。