巨星の遺著 おすすめ度 ★★★★★
刊行されたときに直ぐに買い求め、ジックリと読んだ本である。著者は戦後最高の日本の作家で、小説以外に史伝を書いたが、この本はその最後のものである。
私は中村さんの小説集成を持っており、耽読し、エッセイ等も集めて愛読しているが、畢生の大著となると、本書に止めを刺す。中村さんの憧れていた所謂サロンというものが江戸の爛熟した文明に存在したということが説得力を持って語られている。博識な中村さんらしく、読んで楽しいし、かつ見事な文体をもって鳴る中村さんらしく非常に読み易い。
昨今の日本には彼のような作家が存在せず、そのことが淋しい。
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