原発訴訟 (岩波新書)
「原発訴訟」というタイトルを今の時点で見ると事故により被った被害の賠償に関する訴訟と勘違いする人も出てきそうです。この本は著者が関わった差止めを求める裁判事例とその解説から何が学べるかを説明しています。それは司法が科学に基づかず政治に負けた判断をしてきたのかをいろんな事例を通じて明確に示すことになります。
ただし、裁判所が住民の言い分を認めた判決が書かれた事例のこともでて来ます。住民と弁護士の主張が通ることはきわめて珍しいのでその部分の記述が光っているように見えました。
原発事故による被害に関する損害賠償では東電の資産をできるだけ使い、それでも足りない分は国が責任を負うべきだとしています。