奄美、もっと知りたい―ガイドブックが書かない奄美の懐
同じ版元から出ている蔵満逸司さんの「奄美まるごと小百科」の中では、奄美の本の中から一冊選ぶとしたらこの本と書かれている。
文章も分かりやすいし、気軽に最後まで読めるので、最初は大げさなんではないのと思っていたが、これがジワジワ効いてくる。実際に奄美を旅行して、気になったことを調べようとすると、たいがいはこの本に書いてあったことに気づいたりする。
1997年に初版が出て、版も重ねている。おそらく奄美に関心を持つ人間の間では、蔵満氏の言うように定番の本として評価が定着しているのだと思うが、ネット検索をかけても、本書はあまり引っかからない。自分で実際に読んで良書を探すと言う作業はまだまだ必要なのだと強く感じる。
各項目の掘り下げも必要にして十分。著者には別に奄美に関する書評集もあるので、併せて読んで頂きたい。
内容は以下のとおり。ひとつでも興味を惹かれた話題があれば、購入して損はないと思う。私は第四章の島尾敏雄と田中一村の項だけで元が取れたと思った。
第一章ノロとユタ/第二章薩摩と琉球/第三章島唄と新民謡/第四章島尾敏雄と田中一村/第五章自然と開発/第六章ヤスとトク/第七章紬とサトウキビ/第八章浜降れと八月踊り/第九章鶏飯と山羊汁/第十章釣りと飲み方
本州のウミウシ―北海道から奄美大島まで
沖縄を除く日本全国で観察されたウミウシをかき集めて1冊に編集したようで、掲載種は650種以上と今までの国内のウミウシ専門書をはるかに上回る量の内容に圧巻。
ダイバーは「沖縄のウミウシ」とともに一冊は持っておきたい本である。