煮詰まった心の行方 おすすめ度 ★★★★★
主人公は、ヤクザ家業に疲れた、結果、自分が何であるか、一旦見失った、が、結局自分に戻っていった、でも、最後に言い遂せた自分に空虚さを感じて自決の道を選ばざるを得なかった。私はこの映画を端的に説明せよといわれれば、こう述べると思います。何が主人公を其処まで、死の渕の底まで、引きずり込んだのか、一言では言い表わせませんが、目的が合法であれ非合法であれ、燃え尽きた先にあるものは、最早死でしか無いのかも知れません。北野監督の映画に共通することは、無言の美しさだと思います。現代人は無言の時間を丸で砂漠のごとく嫌い、兎に角音楽か台詞か、時間の空白が怖くてならないようですが、北野映画は敢えてその「無言の空白」に挑戦しているように思えてなりません。この映画における!!台詞の無い部分がどれだけ、美しい沖縄を背景とした映像を引き立てているか、一度じっくり鑑賞して欲しいと思います。貴方の心の底に潜む、何者にも止めることの出来ない「情動」が動き出すかも知れません。
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