浄瑠璃を題材にしてあるというので、とても難しい映画かとどきどきしてみました。実際は人の在り方を切なく描いた綺麗な映画でした。出世のために一度は分かれた恋人と共に過ごす男の子、アイドルと彼女に憧れる男性、やくざの親方と彼の帰りを待ちつづける女性の3組がそれぞれの日常を生きています。彼らの運命は一見、無常のように思えます。生きていくのに大事な事ってなんだろう。それぞれが自分なりに考えた、もしくは行動した結果がこれなのかしらと思いながら見ました。美しい四季とそれに映える美しい衣装も大変印象的でした。
救済おすすめ度
★★★☆☆
北野監督にしては、けっこうオーソドックスなカメラワークです、たぶん。
ストーリーは、会社の社長の令嬢と結婚するために彼女と別れ、いざ結婚式のとき、彼女が自殺未遂したことを教えられ、完全駆け出す彼氏。
そのあとは、監督お得意の非現実生活に突っ走ります。そこに、ヤクザの親分の昔からいままで引きずっている恋話と、顔に怪我を負ったアイドルに会うため無茶をする青年が、ぎりぎり薄すぎる人間関係でからんできます。
まず構成なんですが、文楽に語らせるというのはヨージヤマモトの衣装があまりにも非現実的なんで(そうそう手に入らないと思う)ワンクッションおいてみて、抽象性を出そうとしたんじゃないんでしょうか。あまり突っ込みながら見るのも疲れるんで淡々と見ました。
個人!的に好きなシーン(映像)は、赤の紐でつながれた2人が大量の風車を並べた屋台を歩くシーンが幻想的で、あぁいいなぁ、と声に出ました。で、もうひとつ。これまた2人が夜の川べりを歩いていて、彼氏が先に小さな板の橋を渡り・・・でも彼女が遅れて紐がのび彼氏が引っ張られるシーン。ここでようやっとあの赤い紐が、彼女をもう二度と手放さない、という彼氏の意思の表れなんだと納得しました、それまではある種の記号みたなもんだと思ってたんで。
ラストはもう、しょうがないでしょう、救済を求めるならば。