タレント本かと勘違い! 面白かった~!! おすすめ度
★★★★★
吉本興業所属のお笑い系(?)アーティストのタレント本かと勘違いしていましたが、明和電機社長・土佐信道がどうやってアイデアを出して、まとめて、形にしていくのか、ということが、写真やセンスいっぱいの素敵なイラスト入りで満載。
文章もイラストも、完全書き下ろし&描き下ろしで、びっくり。
モノを生み出す人の、本物の元気パワーに触れられる、超お勧めの一冊です。
何か思いついても、実際に形になり、商品やパフォーマンスとして世に出るには、大変なんだなあ…、でもそれを目いっぱい楽しんでいる著者の姿に、今後の活躍も楽しみです。
これは一種のビジネス書?おすすめ度
★★★★☆
某TV局の「著名人が出身小学校の後輩に授業をおこなう」シリーズ番組で土佐社長が先生の放送を偶然見た。その中での”おかしな新商品”開発の発想法が、ビジネスマンのアイデア発想に応用できそうであった。(私は社会人向けの研修講師をやっていたりする)
明和電機の存在はもちろん知っていたし、それなりに興味はあったのだが、今回本書を購入した理由は、”表現者”としての明和電機でなく、
”メーカー”としての明和電機に興味を覚えたからだ。
もちろん純粋な「製品開発」「アイデア発想法」のためなら、何も本書を読む必要はないが、そう言う既成のビジネス書を読んでも、ちっとも良いアイデアが浮かばない人は、息抜き半分読んでみると良いかもしれない。
純粋なエンターテイメント本としても楽しめるし。
きっと読後は、明和電機の製品を購入したくなるはず!
概要
帯には「小学生からビジネスマンまで」とあり、裏表紙には「年」「組」「なまえ」。マンガを多用し、漢字にはすべてルビ、全ページの端には「まめちしき」という構成は、まるで学研の「ひみつシリーズ」を思い起こさせる。一見子どもでも楽しめそうな装丁だが、これがなかなか曲者である。同著者による『明和電機 魚器図鑑』が「製品」(一般に言う「作品」)の解説なら、本書は明和電機のアイデアの産み方を解き明かした1冊である。 アートユニット、明和電機の「製品」は大別して「ツクバシリーズ」(楽器)、「魚器シリーズ」(魚をモチーフとした作品群)、「エーデルワイスシリーズ」(花をモチーフとした作品群)に分かれる。本書ではそれぞれの作品について、製品として完成するまでのプロセス、つまり発想から現実にアジャストさせていくまでの流れを丁寧に解説していく。
驚かされるのは、それぞれの「製品」やシリーズのベースとなる物語の豊かさである。特に新シリーズ「エーデルワイス」の壮大な物語は、女性に対する憧憬と不安が夢に表れたような、不思議な雰囲気を持っている。性を即物的に捉えることによって、逆にロマンチックで悲しい世界を構築しているのには驚かされる。さらにそれが「製品」自体のヤンチャぶりと見事なコントラストを描き出し、明和電機の存在を際立たせているのだ。
技術は技術自体のためにあるのではなく、発想を実現させるためのツールにすぎない。読者を童心に戻すことでこのことを再認識させてくれる本書は、やはり曲者である。(大脇太一)