スペンサーシリーズで野球の話を随所に交えているロバート・パーカーが書いた野球をテーマにしたハードボイルドサスペンス．第二次大戦のガダルカナルで負傷し，ボクサーを経てボディーガード業のバークが主人公．そして，黒人初のメジャーリーガー，ジャッキー･ロビンソンを警護するという設定．人種も違う二人が徐々に信頼感を強めてゆき，互いに助け合い闘っていく過程を渋く描いている．パーカー自身の子供の頃の思い出が各所に挿入されているのも面白い．
久々によかったおすすめ度
★★★★★
いつになったらJackie Robinsonが出てくるんだと若干いらいらする部分もありましたが、スペンサーシリーズに飽きてしまった方もきっと満足できる内容だと思います。いまだに人種差別はあるのでしょうが、このころ（1947年）のアメリカは本当にひどかったのですね。時代背景も面白いですし、メジャーリーグとハードボイルドが好きな人には薦めの一冊です。
男達が男達であった時代に
おすすめ度 ★★★★★
大戦に従軍し心を見失った主人公Burkeが、ジャッキー・ロビンソンのボディガードを引き受けて最後には自己を取り戻す物語、ということになるだろう。心を失ったBurkeを描くのに、ハードボイルド文体は非常に効果をあげている。
ちょうどハメットやチャンドラーが執筆していた時代を題材にしているが、パーカーは彼らの研究で博士号を取っている。またパーカーの分野であるメジャーリーグ、名誉、男であることなどが重要なファクターとなっており、得意分野だからパーカーを読んで無くても楽しめるだろうし、読んでいるならばなお楽しめるだろう。
以下、スペンサーシリーズを読んでいる人ならば特に。スペンサー的価値観が時折時代錯誤として描かれるのとは異なり、本書は時代をgood old Americaに設定することで、条件抜きに本物の男達の物語を描いている。
決してジャッキー・ロビンソンファンが書いたヤワなお話ではないです。
