修羅の門 第弐門(1) (月刊マガジンコミックス)
【戦うってことは怖いってことだ。
そしてそこから逃げないってことだ】
【勇気なんてものは人から与えてもらうもんじゃない。
自分の中からしぼりだすもんだ】
前作第壱門(といえばいいのか?)での、
主人公九十九の言葉であり
個人的には山本五十六語録に匹敵するほどの名言でもある。
たかが漫画
されど漫画
私にとってはこの二つの言葉と出会えただけで
完全に「されど漫画」だ。
一子相伝の古の武術を自在に操り、
170cmの体でヘビー級のボクサーをノックアウトする。
典型的少年漫画、少年漫画の王道とも言える物語を紡ぎつつ
活人拳に対するアンチテーゼをも表現する。
おまけに人生訓まで喋らせる。
さらっと読み流しても面白いし、
じっくりと読みこめばなお面白い。
前作は非常に間口と懐の深い作品であったと思う。
さて、本作。
前作後半から作者の画風が徐々に変わり
海皇紀ではまるで別物になってしまったため、
果たして本当に「修羅の門」を新たに描き始められるのだろうか、
と少々心配していた。これは作者も同じ気持であったと
本巻のあとがきで知ったが、
第弐門、心配は要らない。
紛うことなき「修羅の門」である。
今の日本は(少々下火になったとはいえ)
総合格闘技全盛時代だ。
前作でグレイシー柔術を取り上げた時、
世間に知れ渡っている有名な異種格闘技といえば
猪木vsモハメド・アリ位の物だっただろう。
しかし今は違う。単に異種格闘技を全面に出すだけでは
前作の残渣をすくいとる二番煎じになるではないか。
前作とは決定的に違うこの時代背景を
どう処理するのだろうか・・・と思っていたら、
敢えてそのことにのっけから踏み込み、
ライバル飛田とその弟子に語らせることで
見事に解決しているではないか。
陸奥圓明流未だ健在。
安心した。
確かに各キャラクターは面影を残しつつもかなり別人になっている。
しかし少年だった悟空が突然大人になって天下一武道会に登場した、
くらいの違和感しか無い。そのうち慣れるだろう。
14年間待ち続けただけに今後が大変楽しみ。
修羅の刻もどうリンクするのか楽しみ。
月刊マガジンを昔みたいに購読するおっさん、増えるかもね。
陸奥圓明流外伝 修羅の刻-八- [DVD]
時は幕末。龍馬が逝ってしまい、新撰組も時代の流れに飲み込まれていく。出海と新撰組の男の約束が描かれています。その時代、信念を持って生きた男たちの姿がとにかくかっこいい!
修羅の門 第弐門(3) (月刊マガジンコミックス)
毅波秀明。
その戦いはその毅波秀明本人を語るもので、不破が今どうなっているかを示すもので、九十九が今どうなっているかを証明するもので――。見所多く知ること多く目を離すことの出来なかったこの戦い、実に面白いものでした!
「ただの石」でも不破というメッキをしそこに尋常ならざる練習と執念が加われば、ここまで九十九とやれるのですねえ。その中で何が一番凄かったかといえば、間違いなく毅波のその執念でしょう。なればこそ九十九も最後に毅波にあの言葉を吐き、その師もあそこまで褒めていたと思われます。勝負の行方、それが不動のものと確信しつつも。
この戦いはかつての九十九と毅波の初戦の折にもう定められていたとのあとがきを読み、「そう言われればそんな風な描写も……あった気がするなぁ」と読み終わって思い返した次第。救急車への同乗を拒んだりと、この辺が布石だったらしいのですが――自分としてはしかし、この戦いは予見出来なかったです。とはいえ戦いそのものは面白く満足のいくものでしたから、無問題ということにしておきますか。「次」の戦いの相手も示唆された九十九の新たな勝負に期待しつつ、4巻を楽しみに待ちたいと思います。
修羅の門 第弐門(2) (月刊マガジンコミックス)
ちょっと前に再開されて、どんな展開になるのかわくわくしています。
もちろん、昔の修羅の門も全巻読み直しました。
海皇記が長かったから、設定がぶれないかと心配しましたが、
十分面白そう。
続編はだいたいの場合、あまり面白くないことが多いけど、
これには期待できる。