セルフレスネス・フィーチャリング・マイ・フェイヴァリット・シングス
1963年7月7日のニューポート・ジャズ・フェスティバルでのライヴ・レコーディングの1・2と1965年10月14日のロサンジェルス録音の3の2セッションの組み合わせのアルバム。
他のレビュアの方も書かれているように圧倒的な『マイ・フェイバリット・シングス』のアルバムとも言えるだろう。アトランティック盤のオリジナルの『マイ・フェイバリット・シングス』とLive at the Village Vanguard Again!の『マイ・フェイバリット・シングス』とこの演奏がおそらくコルトレーンの3大パフォーマンスだと思う。ただそれ以外の演奏も決して悪くないと思う。
着々と変貌を続けるコルトレーンの一瞬を聴く。ジャズの最高の楽しみの一つだろう。
Thembi
ジャケットは今ひとつ魅力に欠けるが、内容は最高。ポップでダンサブル、グルーヴ溢れるスピリチュアリティが感動的な、Pharoah の1970年インパルス代表作。
アストラルで幻想的な [1] に始まり、東洋色強い [5] からアフリカン・パーカッションの [6] へ、一気に振り子が揺れる。Pharoah らしい咆哮で始まる [2] のタイトルは、黒は黒人を、赤は奴隷貿易により流された血を、緑はアフリカの豊かな大地を象徴する、アフリカの国旗でよく使われている3色。
ウッド・ベースからメタル的な響きを引き出し、グリッサンドを効かせたアルコが驚異的な Cecil Mcbee 渾身のベース・ソロ [4]。Lonnie Liston Smith のピアノが輝きに充ちたグルーヴを叩き出す [5] 。アルバム・タイトルになっている [3] は、当時の Pharoah の妻の名前。各チューン程良い長さの全6曲で、もう絶対お薦め!
ラヴ・イン・アス・オール
今更私ごときが四の五の述べなくとも、この作品('73年作)、なかんずく[1]に出会った事に多くのリスナーは感謝感激されたのではないでしょうか?これ程に至福の時間を過ごせる曲というのも、そうそう巡り合えるものではないと本気で思えてきます。
グルーヴするという感覚でもなく、表面的なヒーリング・ミュージックとも断じて違うこの音楽に、ただただ精神的な平安を感じるのです(本当に世の中の至るところに愛があれば、、、そんな柄にも無い事をふと考えさせられるのも、この曲の威力かと(^^;)。
もう一曲の[2]は、[1]とは打って変わってかなりフリーキーに展開されます。"こりゃ、キツイかなぁ"と思うのは早計(^^; 後半(17-18分頃)になると、非常にメロディアスなアンサンブルが現れ、今までとの対比において、その鮮やかさがより引立つという仕掛けです。
#本当に仕掛けなのか否かは判りませんが(^^;
最後の鐘の音?が妙に心に響くのはなぜでしょう?
ライヴ
1981年(発売は82年)の白熱ライヴ音源!
クラブジャズ・クラシックスとして有名な「ユーヴ・ ゴット・ハヴ・フリーダム」の14分にも及ぶ渾身の長尺バージョンは神がかり的でありサイコー!!
としかいいようがない!!
このダイナミックな勢いのある演奏は
ハンパじゃない。
まさに「この場にいたかったライブ」の最高峰である
「テレサ」での通算4枚目だが、インパルス時代からその豪快なブローに拍車がかかったかのような脂の乗り切った時期のライブだから、まずダレが聴いても損はないアルバム。
メンバーはピアノにジョン・ヒックス、ベースにウォルター・ブッカー、ドラムにアイドリス・ムハマッドを従えたシンプルなワンホーン・カルテット
評価は個人的に5点満点を軽く越えてメーター振り切っちゃいますネ
ジュピター・ヴァリエーション
M1は67年3月7日、M2は66年2月22日、M3,4は「インターステラー・スペース」と同日の67年2月22日の録音。アルバム・リリースは78年だが、生前未発表録音の曲だけで構成されたというのが信じられない、完成度の高い作品。
M2はファラオ・サンダースを含む多人数の演奏だが、ファラオの影は薄く、平和と愛を求めたコルトレーンらしい美しい曲。この曲唯一のスタジオ録音が聴けるだけで本作は貴重だ。
そして、67年録音の曲にはコルトレーンが目指していた音楽の将来像がうかがえる。即ち、ファラオぬきので、アリス・コルトレーン、ジミー・ギャリソン、ラシッド・アリという小編成のバックがコルトレーンのブローを支えるという構図。それも4ビートのリズムを刻むのではなく、ヴァイブレーションをコルトレーンに送り込むような。そういう意味で、アリスとアリの存在感が際立つ作品だ。
特にM3、4はインターステラー・スペース所収の曲・演奏と同じくコルトレーンとアリだけの対話。コルトレーン自身、病を自覚していたと思うが、ドラムとのデュオという最小限のユニットで、どれだけ自己の音楽が飛翔できるか試すかのようにサックスを吹きまくるコルトレーンのエネルギーが感動的だ。