政商―昭和闇の支配者〈2巻〉 (だいわ文庫)
ロッキード事件によって小佐野氏の名前を知らぬ人はいないだろうが、「甲州の山猿」であった彼が何故、そして如何にして政財界に強力な影響力を及ぼすようになったか、その過程を分かり易く説明している。
書籍の厚さの割には短時日で読破できる内容となっている。
フランク/ルクー ヴァイオリンとピアノのためのソナタ Franck / Lekeu :Sonata for violin and piano
フランクと20歳代で亡くなった弟子ルクーは、フランスのロマンティズムの最先端に至った作曲家。熱があればあるが、フランスですからクペランの伝統を避けられず、バロックの遠慮とデリカシーは溢れる。ただ、バロックと違って、幸せの瞬間と共に絶え辛い心の苦しみもそのまま表現される。日本の儚い美感そのものがフランス美術と出会うのは、まさに十九世紀の定めであった。さて、冷たすぎる殆どばかりのバージョンも、ドイツ系ロマンチック交響曲と混乱させるバランスの取れない演奏をも避けるには、どうしたらいいでしょうか?条件はみつある。第一は、作曲の由来の知識、第二は、フランス音楽の直感、第三は、滑らかで強い且つ敏感な技術ではないか。当録音を初めて聴いた時にびっくりした。特に、フランクのソナタは、これだと気づいた。しばらく検討すれば、バイオリニストマーグリットフランスはダリウス・ミヨー等の直接経験の持ち主で、フランクの精神がまだ直接に流れている炎症社だ。尚、ピアニストも演奏の意図を見事に把握し、死の暗さから春の太陽の軽い輝きまでバイオリンと組んでいる。つまり、適切な指導があれば、日本人も適切な音楽感(ミュジキャリティー)を身につけられるという大発見だ。尚、当CDの録音術は中立のバランスを取れた上でピアノにもバイオリンにも必要なスペースを上げた。中高年の誘惑に試されて、それで苦しんで、感情と理性の戦いを著しく掲げ、爽やかなフランス田舎の風景を考えさせる豊かな曲線と和音で静点に辿り着くフランクは、ロマンティストとして、フランス音楽家として、それらの材料で傑作を組み立てたに違いない。ルクーもその若さにも関わらず、大昔のペルゴレジのように洗練で、偉大さを自然に現れ、自然の残酷さにより感染病に命を奪われた。誠にお勧めの稀品。