主演マッド・デイモンが一番気に入っている役柄らしい特殊工作員ボーン登場である。現在すでにスプレマシーとアルティメイトで、の3部作で完結しているかのように見えるが、次回作あり、という推測の余地を残しているので連作になる可能性がある。マッドの知的な風貌にタフな運動能力を見せ付けるアクション映画。記憶喪失した地中海から、スイスのプライベート・バンクを経て、EU諸国で自らのアイデンティティを捜し求めて、走り抜ける。ヨーロッパの美しい風景とアクションが、対照的な関係で描かれる。
本来のボスすら、敵対せざるをえない複雑な冷戦後の情報戦を掻い潜る知性の持主。どこやらの大統領もボーンと同様にインテリジェンス機関の出身である。アクション映画でありながら、マッド自ら気に入っているであろうの知的な面が活きた作品の始まり。とても楽しめる。
ただのスパイ物ではない。仏映画の様な複雑な感情表現が妙。おすすめ度
★★★☆☆
自分の記憶を取り戻すため、暗殺者や警察からの逃走劇を演じるジェイソン・ボーン(マット・デイモン)
記憶がほとんど無いながらも、CIA工作員としての本領を発揮していくボーンは
類い希なるアクションと言い、周到な行動力と言い、スパイ物としてゾクゾクする出来となっている。
また、ヨーロッパ諸国を巡る逃走劇も物語のスケールを大きなものとし、
欧州の様々な町並みや美しい景色も見られて特典である。
たまたま出会ってしまい、共に逃走劇を演じるマリー(フランカ・ポテンテ)と
関係を深めていく様も、殺伐となりがちな逃走劇に潤いと感情を入れ、ボーンに人間らしさを与えてくれる。
記憶を取り戻していく中で、徐々に自分の正体と陰謀が明らかになっていき、
それにつれてボーンの苦悩と葛藤も増していく。
ただのスパイ映画ではない、どちらかと言うとフランス映画の様に複雑な人間の感情を良く表した映画として
良くできた作品である。
楽しめるスパイ映画おすすめ度
★★★★☆
2時間楽しめるスパイ映画でした。
かっこいい主役の青年、洗練されたアクション、カーチェイス。
CIAも非情に徹していて、スパイ映画の王道を行ってます。そう、敵役はかくあるべし、のお手本ですね。
主人公が記憶をなくしたスパイということは冒頭からほぼネタバレ状態ですが、彼が何故、暗殺任務に失敗したのか等、徐々に核心に近づいていくストーリー展開は良かったです。ラブロマンスはちょっと薄味ですが、劇の緊張感とのバランスから考えるとこの程度でいいのかもしれません。鑑賞後の後味も良くいい余韻があります。
劇中で使用されたヨーロッパ各所の風景が美しいですね。短いシーンでもさりげなくそれぞれの場所の雰囲気が伝わってきます。
楽しめます
おすすめ度 ★★★★★
おとなしくてアクションとは無縁の役柄が多かったマット・デイモンが、知恵と体力を活かして活躍するスパイアクションに挑戦。どこにでもいそうな素朴さと、醸し出されている賢そうな雰囲気と、肉体的なアクションが絡み合ってとても面白い人物像が造られていると思います。ストーリー的には先が簡単に読めてしまう内容ですが、淡々としつつも要所要所に見どころが混ざっているので、テンポもよく最後まで飽きずに楽しめます。
概要
ロバート・ラドラムが1980年に発表したベストセラー小説、『暗殺者』を大胆にアレンジして映画化された『ボーン・アイデンティティー』は、最初から最後までスピード感あふれる展開を見せている。複雑に絡み合ったストーリーは、自分の名前、職業、最近の行動に関する記憶さえ失くしたCIA工作員のジェイソン・ボーン(マット・デイモン)が、チューリッヒで無一文のドイツ人旅行者(『ラン・ローラ・ラン』で主演のフランカ・ポテンテ)を巻き込んで、失われたアイデンティティを探し求めるところから急展開を見せる。CIAの上官(クリス・クーパー)が殺し屋を送り込み、ボーンを抹殺して、失敗に終わったミッションを闇に葬ろうとするが、ボーンは強靭な肉体と訓練で身につけた戦闘術を駆使しながら対抗し、パリを目指す。ダグ・リーマン監督(『Go』)によって原作の複雑なストーリーへ人物描写に対する独特の視点が吹き込まれ、デイモンとポテンテのユーモラスでスリルを求めるという互いに共鳴する部分が、息詰まるアクションシーンの中で調和を見せている。1988年にはTV用映画としてリチャード・チェンバレンが主演したこともある本作品は、新進気鋭の俳優たちによる演技が光り、知性にあふれながら大衆にもアピールする興奮場面が全編にわたって繰り広げられている。(Jeff Shannon, Amazon.com)