お洒落で粋なラブコメディー おすすめ度 ★★★★★
富豪の一人娘エリーは、恋人と勝手に婚約を交わしたことで父親と大ゲンカ。その勢いで乗っていた豪華船から脱走し、ニューヨーク行きのバスに乗り込んだ。そのバスで失業中の新聞記者ピーターと知り合ったエリーは、ひょんなことから彼と2人でニューヨークを目指すことに。・・・ 勝気でわがままな令嬢と、ちょっぴり皮肉屋だけどスマートで包容力のある新聞記者との出会い。最初は反目しあっていた2人が、一緒に旅を続ける中でだんだん惹かれあっていく展開は実に微笑ましい限りです。この作品はまさしく「元祖ラブコメ」的存在で、カップルのコミカルなやり取りは現在にも引き継がれているわけですが、この作品には簡単に真似させないポイントがあるように思います。それは「粋」だということ。令嬢が思わぬ特技?を披露するヒッチハイクや「ジェリコの壁」など、色気を感じさせる場面の表現が実に洒落ていて上手いんです。 個人的には、エリーの性格が最後まで変わらずじまいだったというのが気になりますが、裏を返せばエリーに真実の愛を気づかせてくれたのが、意外な人物だったというのもこの物語のいい所かも。1934年の作品でありながら全く古さを感じさせない、お洒落で粋なラブコメディーです。
概要
恋人に会うため逃げ出した、大金持ちの1人娘エリー。乗りこんだニューヨーク行きのバスで、失業中の新聞記者ピーターと出会う。ピーターはエリーに手を焼きながらも、特ダネを狙い共に旅を続けたが…。 二転三転するストーリーのおもしろさ、全編にちりばめられたユーモアとロマンチックな雰囲気が抜群だ。それまでパッとしなかったクラーク・ゲーブルの名を一躍有名にした作品であり、エリーに扮するクローデット・コルベールが、ヒッチハイクをするため靴下を直す名シーンなど、年月を経て今なお楽しめる名作である。 34年度アカデミー賞で作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞、脚色賞の主要5部門を独占。名匠フランク・キャプラの面目躍如となった古典的恋愛コメディの傑作である。(アルジオン北村)
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