マニアの喜びを、よくご存知で。おすすめ度
★★★★☆
日常描写を、私は、飽きずに読了しました。(あくまでも、私は、です)
特に、雑多なことに時間を要する日常生活の中で、趣味を楽しみにする人々。その喜びとマニアックさを満喫しました。フィギュアの色やら曲線へのこだわり、とか、盆栽の枝振りや、鋏に対するこだわりなど、(分野は違っても)マニアならわかる喜び・楽しみだと思います。フィギュアや盆栽などには興味はありませんでしたが、ちょっとかじってみようかな、という気分になりました。実際に手を出すことはないだろうと思いますが、少なくとも視点はかわったと思います。
また、登場人物によって、地の文章の変化にそれぞれ特徴があり、それぞれ楽しませていただきました。
肝腎の推理小説、という部分は、他の方もおっしゃっておられたように、前を読み返し、やられたー、と思わず笑ってしました。
個人的にはツボにはまって面白いのですが、万人におすすめできるかというと、ちょっと苦しいので、☆4つで。
壷中の天とはうまいタイトルをつけたものだおすすめ度
★★★★☆
倉知淳が好きなので、読んでみた。いつも思う事だが登場人物が一癖も二癖もあって面白いし、会話のやり取りがまた楽しい。今回は主婦が主人公だが、子を持つ親の心境なんかは絶品である。物語は連鎖的に殺人が行われていくが、主婦には直接関係無くまさに対岸の火事を見るように進む。それでいて日常の面白さも並行して、特に同級生の正太郎がまたいい味を出している。最後はおそらくハッピーエンド(再婚)になると思うが、うまくまとめた作品といえる。
力強い作品
おすすめ度 ★★★★☆
2000年に出た単行本の文庫化。
倉知淳らしさが存分に発揮された一冊だと思う。登場するのはネジの外れたマニアばかり。巧みな性格描写。文体模写による遊び。常人には思いも突かないような動機。猫丸先輩シリーズとかが好きな人には、嬉しいばかりの本だろう。
私は倉知淳は好みではないが、その手法にはいつも感嘆している。読んで損のない本だとは思う。
結末がハッピーエンドなのか、はなはだ疑問。