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日曜の夜は出たくない (創元推理文庫―現代日本推理小説)

倉知 淳
おすすめ度:★★★★★
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韜晦戦術は買えますが
おすすめ度 ★★★☆☆

"猫丸先輩"を探偵役とする連作短編集。連作短編集にしては物理的トリックもの、とぼけた妖怪談、船上もの等、良く言えばバラエティに富んでいる、悪く言えば一貫性がない構成になっているが、その訳が最後で明かされる所が本作のミソ。

それにしても、冒頭の「空中散歩者の最期」のトリックは酷い。作者には物理の初歩が分かっていないのではないか。物語の添え物として話題に出すくらいなら笑って済ませられるが、これがメイン・トリックなのだから開いた口が塞がらない。作者は根っからの文系なのではないか。

他の作品も各々違和感を感じさせながらも、一応の解決を見る。韜晦戦術である。そして、最後で作品全体の構想が明かされて、ナルホドとなる仕掛けだが、正直あまり感心はしなかった。全体構成がこうなのは、作者の都合であって読む方には関係ない。それより、短編一作々々に磨きをかけた方が良かったのでは。



面白いv
おすすめ度 ★★★★☆

短篇連作集です。
作風というか、それぞれの雰囲気が違っていて面白いです。

全然雰囲気は違うのに、謎を解くのは名探偵猫丸先輩。
そして、脇役の登場人物がそれぞれの作品の中に、バトンリレーのように登場します。
最後の章では、意外な落ちで面白かったです。
ミステリー好きの方はぜひ

『いいか、忘れるな、人にはな、捨て去らなきゃいけない過去と、造り上げていかなきゃならん未来ってもんがあるってことを』(BY猫丸先輩)

過去は捨てられるもんじゃないぞ、猫丸くん…



しまりのない連作
おすすめ度 ★★★☆☆

 1994年に出た単行本の文庫化。
 猫丸先輩シリーズの第一作。すでに著者の持ち味が良く出ていて面白い。良い点としては、パロディの腕が巧みなこと。それから人間の心理が良く書けていること。殺人(犯罪)の動機を、これだけ手際よく書けるというのは、尊敬に値する。
 悪い点としてはトリックが甘いこと。完全なミスもあるし、納得のいかない結末も。また、はやりだからかは知らないが、連作形式にして最後に全体をつなぐキーが説き明かされるというのは、大失敗だった。
 まあ、今後に期待というところだろう。



日常の謎を飄々と
おすすめ度 ★★★★☆

創元社からデビューしているミステリ作家の方はみんなどこか一癖ある気がします。この本の作家倉知淳さんもその一人ではないでしょうか。
(そして佳作が多いけど寡作・・・)
猫丸先輩という稀有なキャラクターを世に送り出してくれてありがとうと言いたいです。

短編連作集なので、一話づつでも楽しめますが、全体はつながっているといってもいいでしょう。
私は最後のオチでちょっとガーンとなってしまいました。ぜひ読んで確かめてください。


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