ストーリー展開はほぼ原作通りおすすめ度
★★★★☆
暴力追放学生集会なるものや、それを潰す側の、ヘルメットにゲバ棒と言う出で立ち(右翼が実際にこんな格好をしたのか疑問)が、公開当時の1973年を偲ばせる。しかし、安っぽい着ぐるみをかぶっただけと言う感じの狼男はいただけない。当時の特撮やメイクの技術はこの程度だったのか、と落胆した次第である。
犬神明役の志垣太郎にはもう少しストイックさが欲しいし、羽黒獰役の松田優作もこの当時はまだ精悍さに欠けている。青鹿晶子役の安芸晶子の顔立ちも原作のイメージにそぐわない感じがするが、彼女の体を張った演技は買いたい。松田優作に柔道の投げ技を何回も決められ、最後の方はずっとトップレス状態である。
リメイクして欲しいと思う作品のひとつ。
平井和正!!おすすめ度
★★★★★
当時は少年誌にコミック版も連載されていたウルフガイシリーズですが千葉真一のアダルトウルフガイの映画化燃えろ狼男と並んでたった2本の貴重な映画化作品です。小説やコミック版では相撲取りばりの羽黒獰がスマートでデカイ松田優作なので小さい志垣太郎がすごく見劣りします。これならかえって優作さんをウルフガイにしたほうが原作のイメージに合ってるような気がしました。どちらにせよ70年代という空気が生み出した怪作です。
なんじゃこりゃあ!前夜
おすすめ度 ★★★★☆
当時はバリバリの二枚目だった志垣太郎。対するはこれがデビュー作の松田優作。この二人のビリビリと張り詰めた関係性が素晴らしい。クライマックスは一転、直接的な対峙。「なんじゃこりゃあ!」って台詞が出てきそうな展開に。脇を固める女優陣も素晴らしい。監督の演出もシャープそのもの。ただ、狼男の造型(?)だけはNHKの幼児番組程度。そのギャップも含めて好きです。
概要
狼人間であることを隠しながら生きる犬神明(志垣太郎)。彼が転校してきた高校は、暴力団幹部を父に持つ羽黒(松田優作)が学園全体を仕切っていた。何かと羽黒にたてつく明に業を煮やし、ついに羽黒は明が想いを寄せる教師・晶子(安芸晶子)を拉致し、明をおびきよせるが…。
平井和正のウルフガイ・シリーズ第1作の同名小説を原作に、松本正志監督が手がけたSFホラー・バイオレンス映画。今では松田優作の映画デビュー作として語られることの多い作品でもある。さすがに特殊メイクなど今の目で見据えると厳しいものもあるが、主人公と女性教師とのふれあいなど心に響く箇所も多く、また全体に漂うダークな世界観は、原作のテイストとも呼応したSF青春映画として大いに認めたいところだ。(増當竜也)