1Q84 BOOK 3
村上作品は大好きですが、今回異常なヒットをした理由は良く分かりません。カフカやクロニクルより内容的に劣るし、結末もいいのか悪いのか何ともいえません。アフターダーク以降、新しさや驚きが無くなったような気がします。個人的にアーティストのプリンスが好きでアルバムをずっと買っていますが、90年代前半までのラディカルさが影を潜め、最近はすっかり驚きがなくなりました。村上作品も同じような印象を受けます。プリンスも村上春樹もいい歳だし、しょうがないのかなぁ・・・。でもウチの奥さんのように、あまり村上作品に興味がなかった人にとっては面白かったようです。
Night in Tunisia
Like someone in loveより前のショーター加入のファンキーさが残ったJ.Mの進化の過程がうかがえる傑作アルバム。高校の頃、なぜかシングルカットされたチュニジアの夜を買って、A,B面にわたって聞いていたのが懐かしい。この曲はジャズ初心者にとってもわかりやすく、カッコいいと感じたので、いくつか聞き比べていた。パーカー、ガレスピーのクリフォード・ブラウンとブレイキーのバードランド盤、J.Mによるサンジェルマンでのライブなどなど。その中で、当アルバムが新鮮に映ったのは、やはりショータのモーダルな解釈によるためであろう。リー・モーガンも全盛期で、プレイに安定感とインスピレーションが漂う。この色気はどこから来るのか?ジャケットがまたいい。アメリカン・タイポグラフィーの粋を見事に実践し、文字だけで完璧にデザインしてしまった。田中一光も影響を受けたというブルーノートのセンスの良さには脱帽である。
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原作を何年も前に読んでいて、記憶がおぼろげでした。また、村上春樹のファンではないので、
原作に強い思い入れがあったわけではありません。とても好きな作品でしたが、詳細については
忘れてしまった状態でこの映画を見ました。
まず、非常にきれいな映像でした。
60年代のレトロな雰囲気を、部屋の壁紙、照明、小物ひとつとっても細かく凝って再現していて、
その時代を知っているわけではないけど、タイムスリップしたような、不思議な感覚に陥りました。
また、燃えるような緑、真っ白な雪、せせらぐ水のゆらめき、あたたかい光など、
自然の美しさにあふれたカットワークも、秀逸でした。
そのなかで個性的な俳優陣が自然に演技をしていて、画面に吸い込まれるように2時間超見てしまいました。
原作で唯一覚えていたのが、主人公ワタナベの、何とも表現しづらい静けさ・・・何を言っても、吸収してしまうような
水面の揺らがない、深くて暗い海のような人柄が、女性から見てひどく性的に、魅力的だったということです。
肉食に積極的なわけではない。かと言って草食であるというわけでもない。
心のうちでいろんな葛藤があったとしても、その深い悲しみを内面にしっかりと押しくるんで、
人と淡々と接するワタナベのようすを、松山ケンイチさんは、とてもぴったりと演じていると思います。
魅力的でした。
菊池凛子演じる直子については、私が女性読者で、原作の印象をあまり覚えていないためか、
触れればすぐ壊れてしまうような、心の均衡を保てない少女の、あやうい狂気じみた美しさがあって、
これもまた、すばらしいと思いました。
原作をまた読みたい、すぐにでも読みたい、と強く思わせられる、郷愁を誘う映画でした。
美しい映像と、登場人物の静かで同時に荒々しい強さをもった演技が、とても好ましい映画でした。
The Giving Tree
学校で生徒達に読み聞かせをするための英語の本を捜していて偶然見つ
けました。とてもシンプルな文と絵ですが、言葉のひとつひとつが心に
染み渡ります。今まで知らなかったのが残念な程です。