菊池武夫の本
菊池武夫はデザイナーであると同時にひとつの【ブランド】である。存在そのものが【ブランド化】されている非常に稀有な存在である。その氏の生い立ちから現在までを網羅し、氏がインスパイアーされた出来事、人物(交友関係)、趣味等をまとめたこの本は、いわゆる「タケ先生マニア」には、筆舌に尽くし難いくらい価値あるものなのだ。また、氏をよく知らない読者にとっても菊池武夫という人間が時代と共に疾走し、どのように熟成されて来たかを知る、格好の内容になっている。
読者は、当然のことながら今後の氏の展開を期待するのであるが、読み進めているうちに氏のクリエーターとしての熱い情熱を感じるに違いない。そして大いに勇気付けられ、「これからもっとタケ先生の服をしっかりと着こなそう」と心に誓うのではないだろうか。
菊池武夫というひとつのブランド化された存在を垣間見ることからこの本を読み始めるのだが、いつしか心の中から熱いものが込み上げて来るのである。氏の力強い情熱に鼓舞されてしまうのである。73歳にして、尚、衰えない「タケ先生」の並々ならぬ情熱に完全に脱帽してしまうのである。