それなりに興味深いが…おすすめ度
★★★☆☆
初のカヴァー・アルバム。
前作でやや持ち直したとは言え、ここ数作の自作曲がダークな色彩の作品ばかりで占められている事を思えば、強力なメロディを持つクラシック・ロックをカヴァーしたというのは悪くないアイディアだと思う。
ただ、本作での演奏もやっぱり暗めだ。ま、カヴァー・アルバムで完コピばかりされても面白くはないが、「こういう解釈もあるのか」という程度の印象しか残らないし、繰り返し聴くような作品とは言えない。
Geoff Tate の声が好きならやっぱり買い。
おすすめ度 ★★★★☆
かつてサイモン&ガーファンクルの「スカボロー・フェア」をギンギンの「めたりっく」ソングに仕上げた彼らゆえ、「完コピ」ではなく、「己のスタイル」で通している。以前に比べると高音が美しくなくなった(喫煙のせい?)が、力量のある歌唱は健在。ニヒルで冷たい Ryche ヴァージョンに生まれ変わった先達の曲が並ぶ。
個人的に感激したのが、ピーター・ガブリエルの「Red Rain」をカヴァーしてくれたこと。アルバム『So』と言うと「スレッジハンマー」や「Don't Give Up」ばかりクローズアップされるのが、自分的には納得行かなかった。内なる狂気を「赤い雨」に例えたこの曲が、断然一番だと思っていたからだ。
結論から言うと、重苦しいガブリエル自身の声の方が合っている(苦笑)が、ファルセットの部分まで抜けの良い声で歌い上げる「Red Rain」も、なかなか興味深い。
バッキングは、ここ数作の Ryche サウンドと同様。ヘヴィに出っ張ったベースがうねる、重いリズムである。アクの強いコブシ回しで歌うため、何をどうやっても明るくならないが、唯一、「ネオンの騎士」だけが、オリジナルの快活な歌い上げにかなり近い。