漫画家、よしながふみさんの対談集です。私は、漫画が大好きでよく読んでいます。しかし、作家さんはその倍以上!対談されている方も、情報量が半端なく多い。そして、深く考えて作品を描いていらっしゃる。漫画を読む人が周りにいないので、こういう本が出版された事に幸せを感じています。こんな濃い話ができるなんて、羨ましい限りです…
表紙は『きのう何食べた?』?おすすめ度
★★★★★
『大奥』を読んでクラクラしていたので、これも読んでみました。
対談者の萩尾望都さんと羽海野チカさんは個人的に敬愛してやまない作家であるというの
もあります。
羽海野チカさんとの対談は、原作者ゆえの葛藤と喜びについて深く語り合っており、自分
のような素人にはちょっとキツメかもですが、対談冒頭の二人の馴れ初めについては、そ
れこそ「ほほう」と感じ入りました。ここは、是非現物のご一読をおススメします。それ
から、様々な組み合わせをあげていくやおい談義は達人同士の立会のよう。
萩尾望都さんとの対談は、冒頭の『NANA』の話題からして、2人とも並みの読み手ではな
いことがよくわかります。本人を前にして、堂々たる作品論(時間軸の交差など)を展開
するよしながふみさんは、半ば微笑ましいのですが、萩尾望都さんはあまり評論めいたこ
とをいわないながら、読み手としての底知れなさがひしひしと伝わります。話の流れで、
永井豪はともかく本宮ひろ志が引き合いに出すのはかなり予想外です。
さらに、『ベルばら』を(連載時に)ライブで体験したかったと悔やむよしながふみさん
へ「今だと『テレプシコーラ』をライブ感たっぷりに大騒ぎしています」と返す萩尾望都
さんに、深くうなずいてしまうのでした。普通だと、こういう風には語れないでしょう。
この2人の対談に限らず、全体として、とても興味深いです。良し悪しは別にして、対談
相手のことよりも、よしながふみさんのことがよくわかるような気がします。
結局はアタマ。
おすすめ度 ★★★★★
バカに表現はできないことを再認識させてくれる対談集。
そして、あらゆる表現は先人の/同時代の影響抜きには語れないことも、
非常にわかりやすく楽しく噛み砕いて教えてくれます。
BLから入った人、少年まんがしか読まない人、
(いわゆる24年組の)少女まんががわからない人、
或いは少女まんがを語りたがる男性陣、
これを読んで、ちったあ啓蒙されるといいのではないでしょうか?
かくいう自分もこれ読んで、まんがよりフェミについていろいろと思うところが。
上の世代みたいに怖いのはイヤですが、
こういう立ち位置なら自分なりにことばにしてもいいなあ。
これ読んで、とりあえず「ハチクロ」読もうって気にもなりましたよ(笑)