人物だったには違いない おすすめ度 ★★★☆☆
下巻では、秀吉の下で天下の情勢が一時的に固まったころの利家の様子が書かれています。諸大名からの信望も集めていくが、前半生ほど行動的ではないため、それ自体が物語りのおもしろさを減らしてしまっているようにも感じました(特に結局のところなんのためだったかわからない秀吉の朝鮮出兵あたりの空気は、小説の退屈と重なっていた)。しかし、最晩年、家康と利家の二大巨頭の体制での、緊張をはらんだ政局の描写はなかなか興味深いものがありました。利家は関が原前年に死んでしまいますが、もう少し健康に生きていたらかなり歴史も違っていたにちがいないというクラスのキーパースンの一人だったとの確信を深めました。地味とみられがちな加賀出身の私としては、いかに利家がそのころ重要なポジションにいた人であったかというのを読むにつけ、胸がすく思いがするわけです(^^;
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