東野圭吾の『白夜行』ではない。が、つまらなくもない。おすすめ度
★★★☆☆
あるひとつのドラマとしてなら、なかなかに見ごたえのある、面白い作品だったが、“東野圭吾原作”として見れば、合格とはとても言えない。
その理由はこのドラマが東野氏の原作の本質をまったく尊重しなかったことにある。「原作とドラマでは違って当たり前」「人それぞれの解釈がある」「ひとつの解釈としての白夜行」などという意見では済まされないくらいである。
ネットでも盛り上がったように、大阪を匂わせる舞台設定だったにも拘わらずなぜ武田鉄也氏だけが大阪弁だったのか、主人公ふたりのキャラクターが原作と違って弱すぎるなど色々あるが、一番の問題はドラマの亮司と雪穂が「時効まで逃げ切る」ことを目標としていた点である。一番最初に罪を犯した当時は、主人公のふたりは小学生で犯罪には問われない。またその後も罪を犯していくのも、原作ではただ「魂を守るため」であり、亮司も雪穂も時効など気にしていない。ドラマのように「時効の日を迎えるために罪を重ねる」では、「だったら新たな罪の時効はどうなるんじゃ」という矛盾を生み出すだけであり、二人のズレた悩みや葛藤をに増やしてしまっていた。(個人的には亮司も雪穂も、自分たちの魂を守るためなら、いつまでも罪を重ね続ける覚悟があったのではないかと思っている。)
また「太陽の下を手をつないで歩く」などといった表現もこの作品には無用の長物であり、この言葉こそが原作の本質を無視した何よりの象徴だったといえる。
こういった点から、重厚なようで軽い作品に見える、何度観直しても考えてもドラマの『白夜行』は東野圭吾の『白夜行』ではないという意見になってしまうわけだが、しかしながらつまらなかったわけではない。
イメージはともかくとしてキャストの皆さんの熱演ぶりは素晴らしかったと思うし、ドラマのテンポもよかったと思う。
というわけで星3つ。
最高!!!おすすめ度
★★★★★
白夜の中で生きている二人、太陽なんてない、でも太陽に代わるものがある、俺はじゃあ暗闇の中で生きている、闇だ・・・。
美しい絆おすすめ度
★★★★★
DVDを欲しいと 思ったのは未だにこの作品だけだ。 小説では描かれなかった。二人の絆。 それも去ることながら、素晴らしい脚本と素晴らしいキャスト綾瀬はるかさん演じる雪穂のヒスティリックな演技は鳥肌もの…
原作ファンにも、ぜひ見て欲しい作品おすすめ度
★★★★★
今まで、好きだった原作がドラマや映画になるたびに
がっかりすることばっかりでしたが
これは非常にいい出来でした
原作では主人公二人の心情などはほとんど描写されず
第三者から見たような感じだけで
自分たちのためには手段を選ばない冷酷非道な犯罪者のイメージで
悪は勝つ!的で終わってしまうのですが
このドラマでは原作では書かれなかった二人の心理に心情を深く表現し
数々の犯罪を犯した犯罪者ではあるのだが
悲しい愛の形に無理な願いと分かりながらも
二人の幸せを願い毎回涙なくては見れません
脚本・演出・演技なども素晴らしいものでしたし
とくに配役はこれ以上のものはないと思えるほどでした
原作を読んだことがある人は、毛嫌いしないで
ぜひじっくりとDVDを見て欲しいと思います
きっと新たな百夜行の世界が見れると思います
また、このDVDを見ようと思ってる人でまだ原作を読んでいない人は
ぜひDVDを見る前に原作を読むことをお勧めします
DVDを見た後に原作を読むよりも先に読んだ方が
原作・ドラマとも絶対に楽しめると思いますよ!!
山田孝之。圧倒的眼力。いい役者。
おすすめ度 ★★★★★
クローズゼロでも圧倒的な存在感見せたましたね。すごい役者になってきました。狼たちの午後みたいなの今度やってほしいです。本作でも武田鉄矢とのヒリヒリした緊張感が最高です。まさに日本のアルパチーノ。もしくはジェイクギレンホール。
概要
ただ太陽の下を一緒に手をつないで歩いてみたかった、父親を殺した少年と母親を殺した少女。そんな主人公たちが白夜をさ迷い往くかのようにさらなる罪を積み重ねていく中で、本当の罰が彼らの心と記憶に下されていく14年間を、せつなくも残酷なタッチで描いた歪んだ愛の軌跡。2005年のクリスマスイブ、サンタクロースの扮装をした亮司(山田孝之)は血まみれで道端に倒れている。その姿を彼方から見やる雪穂(綾瀬はるか)は瞳に涙を浮かべたまま背を向けて、逆方向に歩き出すのだった。1991年秋、図書館に通い詰めていた11歳の亮司(泉澤祐希)は、そこで同級生の雪穂(福田麻由子)と知り合う。それは2人にとっての初恋だった。
悲劇の序章となる父親殺しを皮切りに、長い年月を通して犯され続けていく罪の数々は、根負けするほどの濃厚さで物語として綴られていく。主人公たちの陰惨な行いは、時として見進めるのに気が滅入ってしまうほど。しかし、これで視聴をあきらめてしまうのはあまりにももったいない。このドラマは最後の3話分にこそ見ごたえの頂点が用意されているのだ。
最悪からはじまった亮司と雪穂の二人の純愛は、その最悪が自己正当化されるにほど、2人だけの世界において奇妙なほどに純度を高めていく。誰もが目をそむけたくなるほどの醜さを、お互いに抱きしめ合うことで生き抜いていく主人公たちの過酷な人生は、それと同化する形で時間を共有する価値を十分に持ち合わせている。
生きながらに死相を漂わせる亮司役の山田孝之の鬼気迫る演技は強烈そのもの。表情の微妙な変化でその心情を生々しく表現する雪穂役の綾瀬はるかの凄みにも随所に身震いさせられる。偏執的なまでに事件の真相を追い続ける捜査の鬼としての顔から、ついには父性までも宿らせる刑事・笹垣を演じた武田鉄矢の存在感も圧巻だ。(麻生結一)