金になるからリサイクルかおすすめ度
★★★☆☆
過去2.3年の太陽エネルギーだけで全てが事足りていた世界。
それが江戸時代である。この表現はとても面白い。
江戸時代には本当の意味でのゴミは何一つなく、全てが再利用される社会。現在は3R(リサイクル・リユース・リデュース)が叫ばれているが、江戸時代はなにもスローガンを叫ばなくともそれらは実行されていた。それは資源が少なかったこともあるが、全てが商売になったからである。なかなか意味深である。聖人君子でない我々はやはりただで不便や苦労を選びはしない。
このシリーズはいくつか読んだが、著者の取材力や構成力は認めるが、いまひとつ姿勢に賛同出来ない部分がある。変に斜に構えて現代文明を批評する態度である。著者が考えるようにかつての日本は不便でどうしようもない暗黒世界であった、現代文明・西洋文明万歳といったようなステレオタイプの思考は殆ど存在しないであろう。西洋文明の代わりに江戸のリサイクル文明を御輿に担いでいるだけで、ひとつの尺度から他を測ろうとする態度は結局は著者が批判したがっている(批判したつもりでいる)人々の思考態度と何ら変わりのないものに見えてくるからである。
手本とすべき事例は日本の歴史の中にあるおすすめ度
★★★★★
今、環境問題が深刻化しています。
エネルギーを始めとする天然資源は過剰消費され、廃棄物処理場は不足し、温暖化ガスは増加する一方です。
国を挙げた省エネ、リサイクル、バイオマスの活用が求められており、北欧やドイツにおける成功例が多く紹介されています。
しかし、これらの取組は、人口、気象条件、社会条件が異なる我が国では、必ずしも成功するとは限りません。
江戸時代、我々の御先祖様は、植物、つまり短期間に国土に降り注ぐ太陽エネルギーだけを徹底的に活用した循環型社会を築いていました。
決して豊かな生活ではありません。明かりは字も読めないほど暗く、移動手段はすべて徒歩、あらゆる日用品は何度も使い回されていました。
しかし、江戸の人口は西欧諸国のどの首都よりも多く、屎尿処理などの廃棄物問題にも、エネルギー問題にも無縁でした。
現代に比べれば不便。でも決して劣ってはいない。我が国の財産を徹底的に生かし切って、300年近くも持続した社会があったのです。
「伝統と文化」がなぜ大切なのか。本書を読めば自ずから理解できます。我々の未来のために、先人の知恵に学びましょう。