私も北川氏はこれから入ったが、その後、のめり込んだ。内容は前の方が書いてくださったとおりなので省くが、とにかく読ませる。少々いろいろなものを詰め込み過ぎて、ごちゃごちゃする感はあるが、読み終わった後、損をしたとは思わない。この人のテーマは、常に遺伝子、だれの血を引いているか、本当の親子か、そうでないのか、それがどういう意味を持つのか、そんなものが多い。これから読むという方、この作品から入るのがいいと思う。
「天才」という悲哀と狂気と戦慄おすすめ度
★★★★★
ミステリーとして、発達心理学や、天才論として、とても刺激的で面白い。
インチキ科学などを導入せずに、最初はいろいろ考えさせられる天才や教育に
関するエピソードが広がり、中盤に殺人事件やミステリー色が濃厚になり、
最後にカチカチと現在納得できる枠組みに急降下し着陸する。
森博嗣氏のような理工系の香りとロジックに、発達や教育という要素をしっかり
融合し、グングン惹きつけられる作品になっている。少なくとも「天才」とか
「子供の何を愛するのか?」とか、「早期教育」とかに感心がある人なら、
ミステリー好きでなくても、ミステリーを通して多くの考えるヒントをもら
えるだろう。多くの人が読んで充実感を味わえる作品のように思います。
非常に上質な伏線も多く、私の配慮が行き届かず少しでもネタバレしてしまう
恐怖感があるため内容そのものには触れないでおこうとおもいます。
この本により、読む前より多くを考えるようになったことは、次のようなことです。
・子供が天才児と障害児でも「全く同じ」に愛せるか?
・才能がある者を魅力的に思うことの「本質」は何だろうか?
・そもそも人の命は本当に平等なのか?公平なのか?「そうあるべき」なのか?