誰も語れなかった沖縄の真実 ――新・沖縄ノート
ケビン・メィアが「沖縄は、ゆすりたかりの名人」と評したとされて解任されたとき、「それがマスコミが報道できない一つのタブーだったのだろう」と感じた人は多かったのではないか。
沖縄の基地問題では、マスコミは、「日本とASEAN、アジア・太平洋の安全保障」の観点から見た沖縄の重要性を基本的に無視している。南シナ海、台湾、東シナ海が中国の海になったときに、一体、日米韓のシーレーンの安全性がどうやって担保されるのか。「沖縄県民感情」「沖縄戦の惨禍」と言われるとマスコミの多くは、「頭なしで暴れ回る怪物」さながらに感情的な報道に終始する。
著者は、こういった沖縄基地問題の真実に、正面から切り込もうとする。「琉球王国の実態」「明治以降の日本政府の施策」「沖縄戦」「アメリカ占領下の沖縄」「本土復帰後の基地問題」・・・。こうした歴史的経過に対する率直な評価を踏まえて、現在の「普天間問題」の本質に迫ろうとする。
ケビン・メィアのふともらしてしまった「本音」が正しかったかどうかは、この本を読んでから読者が判断することである。それにしても、読者は著者によって多くの驚くべき記述に出会うことだろう。
「本土復帰」後、沖縄開発のために日本政府が投じた金額は、13兆円。しかし、「反日」「反米」「親中」勢力は本土の革新団体と連携していて、非常に強い。先の稲嶺知事時代も移転先が「辺野古」と決定してから、一歩進もうとする度に、新しいハードルが出てくる。だから前に進まない。
沖縄人の平均寿命は、87歳であるが、沖縄がもともと豊かで長寿だったわけではない。戦前、47歳であった寿命が飛躍的に伸びた背景には、戦後、アメリカ占領軍の公衆衛生政策と豊富な医薬品、食料品があった。沖縄の人々は占領下では確かに感謝していたはずだが、「本土復帰」後はそういったことまで、冷静に、公平に語る人は少ない。
仲井間知事の尊大なもの言いは、違和感を感じさせるものの一つだが、知事が中国人の子孫であることを公然と自慢し、ひそかに「ノービザ」で中国を訪問して政府高官と協議しているというような事実は、看過できないものである。
日本人が知らない軍事学の常識
ちょっと、この本はスゴいのではないか。
《軍事技術・資源獲得競争の趨勢》をふまえ、現在の安全保障環境を米国、日本、朝鮮半島、中国、ロシアと概括しつつ震災以後の原発問題まで含めて、今、そして将来そこにある危機の危険度を教えてくれます。
各分野の専門家からみれば瑕疵があるだろうなと思える点もありますが、私のような一読者とすれば、特にその広範な海外軍事情報の収集・分析の手間を省いて手にすることができるだけで値段以上の価値があります。
法治による自由・公平な社会を善とする著者の価値観は、本書のなかで明確にされており、そのため儒教的秩序(つまり中国、南北朝鮮、日本の一部分)は敵視されています。この点に反感を覚える人でも軍事技術の趨勢などは一読の価値があると思います。
我が国政府の各種決定に対し、経済に比べ、軍事の分野ではまっとうに批判してくれる(できる)人材が少ないですが、ここに在野の軍事関係書としては戦後最高の到達点が現れたように思います。
兵頭本としては、かつての「米軍へのリベンジも不可能事とはせず」といった痛快さは影を潜めましたが、本書のような落ち着いた啓蒙書の方が個人的には好み。
※ ところで佐瀬昌盛さんは元防大学校長ではなく、名誉教授ではないでしょうか。
日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土 (ちくま新書 905)
日本の領土問題を語る前に・語る間にもこの一冊。豊富な資料、冷静かつ目配りの利いた分析、外交官としての実体験にもとづいた鮮やかなエピソードの数々。すでに「新しい古典」の風格を備えている。一朝一夕でこの議論に反論するのは容易ではないだろう。
著者の孫崎氏にせよ「失敗の本質」の戸部良一氏にせよ(ある意味で猪木正道氏も)、防衛大学校の教官にむしろ正統派リベラルの論客が多いのはかねがね不思議だったのだが、本書p.27の;
「リスクが自分の身に降りかかる恐れがある時、人は簡単に過激なナショナリズムに走らない。いたずらにナショナリズムを煽れば自分たちが死ぬ。」
に目から鱗を落とされる思いがした。一事あればもっともリスクを負う現場の軍人(自衛官)を目の前にして教えている以上、ネット右翼や霞ヶ関人種のように無責任なこと(「敗北主義的」といったコメントもここには含まれよう)は言えず、最大限平和を追求すべきことを説くのは当然なのだ。その意味では、日本を戦争に導いたいわゆる青年将校たちも、一兵卒ではない「無邪気で危険なエリートたち」だったことは銘記すべきだろう。
これだけの質と量(ページ数ではなく、情報の)を兼ね備えた本を、手に取りやすい新書の形で世に送り出してくれた著者と版元に感謝である。他のレビューでも指摘されているように、誤字が目立つのは刊行を急いだ故だと思うので、校正を重版のさいの宿題としていただきたい。
極東日本のサバイバル武略
古くは台湾海峡でのミサイル発射、記憶に新しいところでは尖閣諸島での我が海保船舶に対する体当たりなど中共政府の対外侵略行為は枚挙にいとまが無いが、この本はその裏にある真の意図を資源問題、中国共産党内の闘争、共産国同士の闘争などから巧みに読み取り、読者に提示してくれている。特に江沢民の行動原理や何故あれだけ反日的で無ければならなかったかを、'ケ小平との関わりや過去に日本に協力していた前歴から実にわかりやすく読み解いてくれているのは非常にありがたい。中国脅威論が叫ばれて久しいが『敵』の真の意図を知らなければ対策も的外れで実効性の乏しいものとなってしまうであろう。有効な対策を考えるため、この本は是非多くの人に読んでいただきたい。また、本書末尾では311以降原発が日本の安全保障にとって負債になってしまったことを指摘し、その上で対策も提示されている。派手なタイトルがついてはいるが、昨今流行の威勢がいいだけの保守とは一線を画す著者による良書である。
沖縄から撃つ! 「噂の眞相」休刊、あれから7年
黒字の月刊誌、私が定期購読していた月刊誌『噂の真相』に元編集長岡留安則氏が、
7年前から住んでいる沖縄から書き送った沖縄と日本への口撃である。
民主党に期待し、裏切られていった沖縄。
前々から私も思っているが、現在の民主党政調会長前原誠司氏は、アメリカ追従一辺倒だということが露骨になってきた。
岡留氏によれば、前職の国土交通大臣兼沖縄担当大臣時代から。泡瀬干潟埋立工事再開、名護の基地建設賛成派や建設業者たちの密会、
そして、アメリカンルールの押し付けにほかならないTPP賛成など、こりゃ駄目だ。
岡留氏の話で注目したのは9電力のうち唯一原発に頼っていない、沖縄電力が、小型原子力発電導入の可能性を研究すると打ち出しているそうだ。
福島第一原発の事故後の話である。沖縄電力とアメリカの関係も怪しい。現在の知事、仲井真氏は、沖縄では誰一人知らぬものはないが、
元沖電の会長である。