ぎりぎり合格への論文マニュアル (平凡社新書)
完璧ではない、ぎりぎり合格点が得られる論文の書き方を示しているのが本書。著者は元々論文が苦手と言っていますが、内容は明瞭なので、立派な書き手だと思われます。この点は、理解しておく必要があります。
小手先の書き方はさておき、<論文>たるものが何のために書かれるものなのかを懇々と説明する姿には共感を覚えます。書き方よりも取り組み方という姿勢を指導しているようにも思われます。
論文を書き始めるに当たっては、既出の論文を読み漁って基礎知識を得ること。その上で問題点を見いだすことが大切。世の中の本で薄っぺらなものが多いのは、ここを押さえていないからとも言い切っています。
色々な意味で、得ることが多かった一冊です。
その他、役に立ったポイントには次のようなものがあります。
・「が」を多用するとフラフラした文章になりやすい。
・「しかし」が多いと論旨が分からなくなる。
・形式名詞は漢字で書かない。
・句読点の付け方は、神経質になりすぎることがない。
・現実社会で問題となっている事象は専門家が取り組んでも解決が難しいものであるから、社会問題となっている。
・最初の五行を読むと善し悪しが分かる。
・こだわりすぎは身の破滅をもたらしかねない。
・色々な本を読んでノートをとることは、ガソリンを補給することである。