レクイエムハンドブック
レクィエムを演奏する際、特にアマチュア合唱団の場合、その歌詞の意味を知ることは演奏において大切なことですが、なかなか良い解説書がないのが残念です。必要性もあり、需要もあるのだけれど、多くの数量の発売を見込めないからでしょう。その意味において、現在本書が入手できる環境というのは大事にしなければいけません。宗教作品を演奏する場合の基礎知識としても。
本書は、日本聖公会司祭の高橋正平氏によって書かれており、1991年9月東京音楽社から発行され、その後改編して1994年10月にショパンから発行されています。
第一部では、「レクィエムの典礼」について書かれています。「死者のためのミサ」典礼の歴史では、典礼的、非典礼的の差異や、「死者のためのミサ」の内容について実に詳しく記してあります。わかりやすい説明ですから、一般の合唱愛好家でもその内容は理解できますが、かなり詳しい記述もあり、専門的に調べる際にも有用な情報であるのは確かです。
第二部では「レクィエム」の歌詞全訳がついています。逐語訳ですし、カタカナ表記でラテン語の読みも記してあります。それぞれの言葉の出典も記載してありますので、より詳しく原典に当たる場合の参考資料ともなるでしょう。
モーツァルト、フォーレ、ヴェルディはもとより、様々な作曲家のレクィエムを取り上げる場合に、合唱団員にとって必要な参考書だと言えるでしょう。対訳があればそれで良い、という考えも成り立ちますが、キリスト教の教義も含めて、その精神性の深いところを知ることも音楽を理解する深さにつながると思いますので。
フォーレ:レクイエム [DVD]
ウィンチェスター大聖堂聖歌隊は、ソプラノをボーイが担当し、アルトは男声のファルセットによる。このため、ソプラノは表現的にやや拙い面もあるが、全体的に抑制された音楽の作りによってそのことは目立たなくなっているし、内に秘めたエネルギーが満ち溢れているアルトの歌声が、抑制された音楽の中に激しい祈りの響きを醸し出すのである。
演奏もさることながら、大聖堂を舞台にすばらしく演出された映像は見ものである。音楽の響きと映像が一体となり、祈りが画面から噴出するかのような錯覚にとらわれる。藝術音楽DVDであると同時に、芸術的映像作品DVDでもある。
フォーレ ノクターン集
フォーレという作曲家をあまり知らない方が多いと思いますが、
とにかく、とてもキレイな曲をたくさん書く作曲家です。
フォーレはサン=サーンスの弟子にあたる作曲家ですが、
サン=サーンスとは裏腹に、目だったことを好まず、ひっそりと
暮らすような人だったようです。曲にもそれが現れていて、
リストたちのように「聴いて下さい見て下さい!」という感じではなく、
自分の日常の中にひっそりとある小さなロマンスのようなものを
追い求めている印象を受けます。
ノクターンも、とてもキレイな曲で、フォーレのつつましやかな
ロマンスに対する気持ちが、演奏者をぐっとつかみます。
ノクターンの楽曲の構成としては、フォーレの場合、
緩ー急ー緩
という形で書かれています。初めと終わりはおだやかですが、
中間部がとても激しく、情熱的なのです。
その気持ちの起伏のようなものをうまく表現できると、
かなり弾き応えがあり、聴き栄えのする曲です!
特にオススメは2番と5番と13番!
フォーレは後期になると、耳が悪く、音の幅がとても狭い
重なった曲を多く書いているので、13番なんかは不協和音のような
曲ですが、それがとても美しく、人生の深みを感じます。