キャッチャー・イン・ザ・ライ
この作品を読み人で高校時代や大学時代の青春を字の如く謳歌した人は
はっきりいってなんとも思わないでしょう
しかしそういう華やかなアメリカでいうなら「プラム」日本で言うなら「文化祭」を
楽しめなかった者にとって
それは正にアンダーグラウンドな思想の悶々とした妄想でしか自分を保管できなかった若者にとって
この作品は映画「タクシー・ドライバー」と同じくらい特別な意味を持って胸に訴えかけてくるものがある
ホールデンは全ての柵を捨てて出て行こうと決心する
それは愛した妹でさえ捨てて
「目も耳も聞かず、そして同じような奥さんをもらってライ麦畑のキャッチャーになろう」と決めて
それは規則にまみれた社会への
いくら足掻いても結局は大人にならなくてならない憤りへの
ホールデンなりの反抗のだったのだ
しかし結局何も出来ずに戻ってきてしまう
それはたった一夜だけスターになった「トラヴィス」と同じやるせなさがある
かつのニュー・シネマの主人公達がそうだったように
本来の若者たちは胸の中の闇を抱え悶々と生きるべきなのに
今の若者は若いうちから達観しすぎている
ホールデンがいきなり切れる理由も
何もかも判ってくれない社会や他人に対する
「もーどーでもいいっス!」的あきらめを上手くあらわしている
他人は口だけだですよ本当に
それは「幸運を祈るよ!」などと軽く口ずさむくらいに
今の社会には「元気出せよ!頑張れよ」的な軽い言葉が溢れ返ってます
若いうちとはいわないからせめて
自殺するまえに読め!
Superfly
1年前に「ハロー・ハロー」でデビューし、1年でアルバム発売。
順調すぎるペースで次々とシングルを切り満を持してのアルバム発売。
そしてブレイク。新人の流れとしては最高の形なんじゃないか、これ。
王道のロック・アルバムである。インタビューを読めば判るけど彼女は相方の多保孝一による
影響でオールディーズの洋楽に精通しており、それをまんまやっているという印象。
で、自分のものにしている印象。 ここが重要なんだけど、ただ影響を受けるだけなら
誰でも出来るけどそれをきちんと自分の個性として落とし込むのは容易ではない。
このSuperflyの歌声と越智志帆のリリックからはそこを乗り越えた本物のエッセンスを感じる。
バカみたいな感想だけど、この人の歌声はとにかく声がデカイ。
もうどの曲を聴いても全力を出しているという感じがするし、そこに「手抜き感」はまったくない。
本気の歌声が13曲に渡って響き渡るこのアルバム、お腹一杯にならない筈が無い。
TVなどでも度々流れているけど、実際にCDで聴いてみると如何に凄いボーカリストか判る。
歌声だけでこんなにも魂を感じてしまうってことはあまりない。
これこそ本当に「アート」として成り立ってる気もする。
今までも沢山話題曲を出してきたけど、実は一番すきなのは「マニフェスト」という曲。
とにかく切れ味の鋭い、superflyの中でも一番バキバキしたロックチューンで
それだけでも聴き応えがあるけれど、更にカタルシスを受けるのが歌詞の世界観。
わかりやすく聴き手を扇動するような歌詞で個人的には「右も左も無関心」とか「大人たちが寝惚けてる今」とか
現実を風刺するような刺激的な歌詞が、刺激的に歌われてるのが非常に格好いい!と思った。
だけどこの曲、今までのシングルの中で一番話題にならなかったんだよな・・・。
このようなシリアスなロックチューンにも注目して欲しいし、また挑戦して欲しいものだ。
思ったより粒ぞろいの楽曲。はっきりいってどの曲もシングル向けのナンバー。これは買いだと思います。ロック好きもポップ好きも両方唸らせるような1stにして決定打!