短篇集hi mi tsu ki chi ヒミツキチ (ビッグコミックススペシャル)
黒田硫黄の短編が目当てで買いました。スペリオールでの企画ものとは知らず。
いつもの黒田硫黄でおもしろかったんですが、他はほとんど知らない作家さんたち。
中には一度別の作品を読んで「自分には合わない」と売ってしまった人もいました。
僕にとっては闇鍋のような本で、読んでておもしろいのかおもしろくないのかもわからないような物もありました。
好きな作家さんが複数いるならば値段分は楽しめると思います。
中々いないと思いますが、僕の様にお目当ての作家が一人しかいない人はよく考えてから買う方が良いかも。
どの作家さんも本書の帯で「突出した才能の傑物」と唱われるだけあって似た作品が一つも無いので、
逆にそれだけ好みに合う作品があるかどうかは人それぞれだと思います。
個人的には、好みに合う作品の方が少なくてちょっと高い買い物になったかな...と微妙な心境です。
TOY
ランプシェードなどで垣間見れる『サカノウエヨースケらしさ』が
良く出ているアルバムです。
ちょっと古めのテイストが良いですね。
歌い方は決して上手くないのですが、
サッカンが書く素直な詩に共感できる方も多いのではないでしょうか。
トータルプロデューサーは浅倉大介さんですが、
クレジットを見ると他にも色々と見覚えのある名前が…(笑)。
海獣の子供 1 (IKKI COMIX)
壮大な海の物語の始まり―。
主人公の少女・琉花は部活でチームメートに怪我をさせてしまい、夏休みの練習を干されてしまう。
失意の琉花の前に2人の少年・海と空が現われ、やがて3人は深く関わっていく事になる。
海と空は海中でジュゴンに育てられ、魚のように自由自在に泳ぎ回る事ができた。
彼らの出生や生態はこの物語最大の謎。
生物学者のジムやアングラードを始め、彼らに魅せられた人々は謎を解明すべく奔走するのだが…。
やがて世界各地の海から魚が消え、海と空のいる海域に集まってくる―。
『魔女』で深淵なる精神世界を見事に描いた作者初の長編漫画です。
“海洋冒険譚”のアオリ文句にワクワクしながら読んでみたら、やはりそんな甘い内容ではなかった(笑)
自然や人物の臨場感溢れる描写、緻密なストーリー展開は相変わらず凄い。その画力に圧倒されます。
読み手に潮の香りや海獣たちの歌声が伝わってきそうです。
1巻はまだ嵐の前の静けさといった感じで、物語に目立った動きはありません。
しかし2巻後半から急展開。ラストは衝撃的で、すごくいい所で終わってます(泣)
1巻の終わりでチョロっと出てきたアングラードは2巻から本格的に登場です。美形です、アングラード♪ 最初、女性かと思いました。
1〜2巻合わせて読まれる事をお薦めします。
この漫画を読んでたら、久しぶりに『アディエマス』が聴きたくなりました。
『聖なる海の歌声』を聴きながら『海獣〜』の世界にゆらゆらと浸りたいです♪
「桜蘭高校ホスト部」Blu-ray BOX
BONES制作、坂本真綾さん、高橋久美子さん、榎戸洋司さんなど個人的に好きなキーワードが集まった作品でBD化されて本当に良かったと思います。
正直なところ、原作は未読で、どの程度がアニメオリジナルなのかわからないのですが、監督の五十嵐さんとシリーズ構成の榎戸さんによって入念に練りこまれた作品であることは間違いないと思います。
表題に掲げましたが、この作品は女性受けするためにいろんな仕掛けが施されています。
本当は美形で可愛らしい主人公が男装し(サークルの)ホストになって学校の女子にモテるのですが、肝はそこではありません。
彼女を取り巻く全ての美形男子が主人公の藤岡ハルヒに好意を持っていることが重要です。
また、脚本が非常に巧みで、彼女に好意を持つ過程が丁寧に描かれ、誰が見ても自然に感情移入できるように作られています。
ハルヒを取り巻く美形男子たちが彼女に好意を寄せ合う話なのにちっともドロドロしていない、これも特筆できることだと思います。
私の知る限り、榎戸さんが手がけた作品で、暗い終わり方をするのはトップ2の5話だけです。きっと彼の才能が爽やかな世界観を作り出しているのでしょう。
また、ホスト部、スタドラの2作品を見ると、監督の五十嵐さんも非常にクレバーな方であることがわかります。
普通なら原作に沿って話を進めて終わりって感じでしょうが、ホスト部は随所に素敵なアイデアやほろっとする場面が散りばめられています。
また前述したような女性の心をつかむための仕掛けが組み込まれていて、嫌味なく話が進行していきます。
決して嫌いではないのですが忘却の錦織さんと比べたときに、商業作品として成功する要素を理解されているように感じました。
この作品は後に出るSTARDRIVER輝きのタクトに繋がる重要な一作と位置づけてもよいのでないかと考えています。
榎戸さん的には忘却の旋律のような作品が本来やりたいことなのかも知れません。
ただ、商業的に受け入れられなければ作品として評価されないということも認識されていて、一つの方向性が見えたのがホスト部なのかなあと思います。
スタドラではハルヒのポジションにはワコが入るわけですが、さらに深みを増していきますので、興味がある方は是非スタドラも見ていただきたいです。
ともあれ誰が見ても素敵な気分になれるこのホスト部は絶対のお勧めです、4:3は残念ですがBDの高画質でじっくり楽しんでいただきたいです。
カボチャの冒険 (バンブー・コミックス)
東北の農村の、気を抜くと森に侵食されてしまいそうな一軒家に住まっているということが、この作品を無二の猫漫画にしています(「リトル・フォレスト」読者にはおなじみの光景)。
普通は「飼い主と猫との世界」が最大のテーマになりますが、本作ではその小世界をくるむように、遥かな奥行きを持ち、多種多様な動植物を擁する森が存在します。気象に翻弄される作者や、リスやヘビやサワガニと異種生物間交流するカボチャの姿を見ると、飼い主と猫の関係性を越えて、もっと大きな視点を獲得できるのではないでしょうか。
あ、カボチャはそんなことは意にも介せず、幼猫の無鉄砲さで行動半径を広げていきます。くるくる変わる表情や、日々逞しくなる成長っぷり(野生化とも言う)を見ているだけでも十分ほのぼのできます。ヤマネコを家畜化したのがイエネコだと言いますが、案外その境界は低いのかもしれません。