だんだんわかった (角川文庫)
仲井戸麗市、チャボはとても不思議な人だ。
そもそも彼が在籍していたRCって、確かに有名で日本のロック・
バンドとしてはそこそこ売れたけれど、サザンやユーミンみたい
なメガヒットを飛ばしていたわけじゃない。ソロになった清志郎
も何かと話題にはなるけれど、ヒット・チャートの上位には決し
て登場しない。
そのRCのギタリストだったチャボ。言ってみればナンバー2の位
置にいた人だ。でもRCの活動が停止した後も、コンスタントにC
Dを出し、麗蘭の活動もこなし、こうして本も出している。そして
その都度、好意的な賛辞が寄せられる。さらに処女作であるこの本
の後にも何冊かの著作を上梓している。あえて誰も言わないが不思
議な現象だと思う。
で、この本を手に取る。確かに読ませる。決して押しつけがましく
ならない独特の熱さがある。この人の内向性が上手い具合に作用し
ているのだろう。読んでいるだけで、この人と何かを共有している
気にさせられる。ある意味人徳の表れかもしれない。文章から覗く
不器用さが何とも微笑ましい。この人とブルースかなんか聞きなが
らビールでも飲んだらさぞかし楽しいだろうなと思わせる。
この誰にも真似できない佇まい、これが彼を彼たらしめ、彼の本を
出したいと思う人が出てくる最大の要因だろう。こういうあり方は
少しエリック・クラプトンのそれを思わせるような気がするのだが、
どうか?
古井戸、RC、麗蘭、おおくぼさん(自分の奥さんを旧姓でしかも
「さん」づけで呼ぶセンスは僕はとても好きだ)について語る、そ
の飾り気の無い言葉は独特の心地よさがある。昔のロックをバック
に酒を飲みながら読むと結構はまります。
serial experiments lain 〈期間限定生産〉 [DVD]
全13話。
中学生の岩倉玲音のもとに、死んだはずの同級生からメールが届く。その日から彼女のまわりで異変が起こり始める・・。現実世界と「ワイヤード」と呼ばれるネット世界が交錯するオリジナルアニメ。
この作品は非常に個性的で見る人によればなんなんだこれはと驚くと思う。映像、音楽、演出どれもが異彩を放っている。私も最初はそうだったんだが、少しずつこの不思議な雰囲気が逆にクセになって面白く感じ始めたんです。それともう1つこの作品で欠かせないのが映像・演出です。無音が続いたり絵だけで見ている人に訴えるような時間や色彩の変化と影の描写など、小中千昭節が存分に発揮される。小中千昭のこのような脚本は、のちの『交響詩篇エウレカセブン』の16話とか『モノノ怪』の「海坊主」などに色濃く見れることができる。彼によって視聴者は謎とホラーとサスペンスを真正面にこの作品から感じ取るだろう。そういう意味ではこの『lain』は小中千昭を読み取るための最たる作品と言えるかもしれない。一見すると難解なアニメーションだが、意外と内容が理解できるストーリーな所と、ラストのバッドともグットとも呼べない終わり方も余韻があって良かった。
パッケージはなんと普通のトールサイズ。
そこに3枚のディスクが収納されており、ジャケットと共にクールでシンプルなデザイン。
DVDでしたが、TV映えする綺麗な映像でした。興味があれば見る事をオススメします。
猫の時間 (We love children―アーティストによる絵本シリーズ)
愛猫なんだけど、猫(人)の気持ちになり想う
おおくぼさんの優しいタッチの愛情あふれる絵に
仲井戸さんのとても、お茶目な言葉、、、
ブルースマンである仲井戸さんの、文章が、メロディを奏でているように
ページをめくるほど、愛情が詰まった
詠む人の心にまでその愛情を与えるような・・・
世の中のギスギスした人々の疲れを取ってくれる素敵なお話。
こんな家庭が世の中に増えれば、争いはなくなる LOVE&PEACE な絵本です。
夢助
久々に聴くと、改めて清志郎が究極のソウルシンガーだったことに気付かされる。
スティーブ・クロッパーらが織りなす重厚なサウンドにも圧倒されるが、
往年のオーティスの様に深く激しく、そしてまだ人生が始まったばかりの少年のような清々しさ・・・・。
病に侵されつつも(病と向き合っていたからこそか)、
彼にしか辿り着けなかった「極み」を共有させてくれるこのアルバムは、
間違いなく泣ける。静かに、そして爽やかに。
DIAMOND LANE -Unreleased 1990-2010 Unplugged- [DVD]
人生の中で、こんなに買って良かったと思えるものはないかもしれません。35年前、儚げで繊細そうだった古井戸のチャボ。チャボの曲が私の心の中を代弁してくれているようで夢中になっていた。そして今、時を経てやっと自分に戻れた私が再びチャボと出会う。知らなかったチャボの歴史をこのDVDが教えてくれました。様々なことを乗り越えてさらに素晴らしいアーティストになっている。いつまでもチャボの中には少年がいる。凄い62歳。自分の52歳という今が嫌ではなくなりました。チャボを知っている52歳の私が大好きになれた。チャボもこの歳の自分をメンタル的には実感できないとDVDの中で言っている。ホントにそう思う。ありがとうチャボ!