会社がトクする!社員も納得!就業規則
経営者、管理者の方が経営に関する本と合わせて読むといいのではないでしょうか。
「経営に使われない実効性の薄い就業規則は意味がない」という主張が全体から伝わってくるようです。例えば携帯電話の私的利用、社用のパソコンを使ってインターネットの個人利用、パワハラ・セクハラ、サービス残業等、就業規則には定めていないけれど、実際には判断に困っているというケースも実際の経営の中では多いのですが、そのような細かい対策まで網羅されています。
著者は会社勤め、経営幹部を経験して社会保険労務士を独立開業したということですが、その経験からくる著者独特の経営観にあふれていて、現場を知る社会保険労務士が書いた本であることの力強さ、説得力を感じます。
就業規則として盛り込むべき内容が網羅されていて、良い事例(会社がトクする!社員も納得!就業規則)、悪い事例(良くある就業規則)が○×で紹介されているなどとてもわかりやすく解説されています。社長と社員の会話調の事例も楽しく読み進めることができます。
付録のCD−ROMも就業規則を作る上で重宝しそうです。これだけでも元が取れるぐらいではないでしょうか。
唯一欲をいえば、「ユニークな手当」などバラエティに富んだ事例が紹介されていますが、著者の考え方ならば、そのまま取り入れて上手くいくことは少なく、いずれも経営者の理念や経営哲学、社風というバックボーンがあってはじめて効果を発揮するものという主張になると思いますが、そのあたりの深みがもう少しあると消化不良にならないように思いました。