春、バーニーズで [DVD]
西島秀俊なんぞ、洋画ばかり見て邦画(ドラマ)を見ないワシは知らなかったぞ。メチャ演技上手いやないかい!監督及び脚本も秀逸。セリフでの感情表現を極力抑え、さりげないない会話や、表情だけでここまで表現させた俳優、監督に拍手を贈りたいわい。音楽も危うい主人公の心の内を漂わせる感じで見事。この映画(ドラマ)の主人公の気持ちをわからない(理解)できない奴がたくさんいると思うが、もう一度人生やり直したほうがいいぞ。ちなみにワシは寺島しのぶもファンである。
パレード (初回限定生産) [DVD]
原作がとても好きだったので、観賞前は楽しみ半分、スポイルの恐れ半分でしたが、チャレンジングな演出で非常にバランスのとれた映画に仕立てるあたり、これぞ行定勲という感じ。
映画はやっぱり演出命だと思わせるのに十分な作品。
「空気を読む」なんて言葉が使われるようになって久しいですが、私を含めて、いま若者が考える「空気」とは、いったい何なのか、行定カラーに染まったこの作品の中で、改めて考えさせられました。
悪人(上) (朝日文庫)
「都市」と「地方」、「富」と「貧」、「もてる」と「もてない」、「既婚」と「未婚」、そういう対立軸のなかで劣位にある男女の主人公は、逃避行の中でつかの間の恋を燃え上がらせる。
いや二人が渇望したのは恋というよりはもっともっと根っこにあるもの、かけがえのない人間として互いに求め、求められるという存在の意味そのものだったかもしれない。
それは、誰もが欲望や嫉妬、憎しみに翻弄されるこの世界の中で、逃避行という例外的な状況においてのみ純粋に成立しえた善悪を超えた特権的な経験であったろう。
祐一が逮捕されたあとの光代が、「昔のまんまです。あの人と出会う前の生活のまんま。」と語っているように、その出来事は光代の表面的な人生を変えてしまうことはなかったが、恋愛というよりもお互いの存在そのものを求め合う根源的な経験は、「生きた証」として二人の中に深く刻みつけられて生き続けるに違いない。
九州の福岡、佐賀、長崎を舞台に、実際の地名を挙げてそれぞれの土地の特色をよく描き出していることが、この作品のリアリティを支えている。
特に佐賀平野のあののっぺりとしたとりとめのなさの描写は、不発の人生を送ってきた光代が住む舞台としてぴったりで(佐賀の人すいません)、効果をあげていたと思う。
映画を見てから原作を読んだのだが、むしろ映画が原作のエッセンスをつかんでよく表現できていることに感心した(原作者も映画の脚本を担当したらしい)。もともと場面転換の手法などが映画的で、映画化に適した小説だったともいえるかもしれない。
主演の深津、妻夫木の二人は言うに及ばず、樹木希林、柄本明の真に迫る名演、久石讓の音楽、李相日の演出と、脚本、俳優、音楽、監督の揃い踏みで、個人的には映画を見さえすれば十分にこの作品を味わうことができると感じた。映画が原作を凌駕しえた一例だと言えるのではなかろうか。
SWITCH vol.28 No.3(スイッチ2010年3月号)特集:東京事変[運動的音楽論]
シャネルを着こなし、フェンシングの剣をもった林檎さんが素敵で
アルバム「スポーツ」の製作中の林檎さんの姿の描写や
メンバー全員分のインタビューもあり
内容がかなり濃いものになっているので
事変のファンの方なら購入して損はないと思います。
また、林檎さんが描かれた大変可愛らしい絵が掲載されていたのも
個人的にとても嬉しかったです。