白線流し DVD-BOX
スピッツの「空も飛べるはず」を聴くと、まるで高校生に戻って「白線流し」の仲間の一人になったような錯覚を起こしてしまいます。十年前の放映の時には、高校時代の自分と重ねて見てしまい、十代の純粋さとひたむきさに毎回必ず涙を流したものです。
十年後を描いた、特別企画「夢見る頃を過ぎても」を見て、初恋はきれいなまま思い出にしておきたかった、という感想を持ちました。ストーリーに「無理矢理な終わらせ方」という印象がありましたし、「渉」の魅力も色褪せていたように感じました。
女性から見て男性には、少年から男になるほんの短い期間、きれいに輝く時があるのです。それが「渉」役の長瀬さんであり「優介」役の柏原さんでした。もちろんお二人とも今は男として魅力的です。対して女優さん達は、あまり変わっていない印象を受けました。
だれもが通過する感じやすく傷つきやすく異性を意識し始める十代を、「白線流し」のような誠実で丁寧な青春ドラマにすることによって、若者達には良い刺激を、元若者には懐かしく美しい思い出を与えてほしいと思います。
夢見るつばさ
失礼ながら葉山愛次(羽山誓)さんをきっかけにSCANDALを知りました。
懐かしいようなメロディーに、現代の歌詞を混ぜてノスタルジックな中にも現在の不安を抱いているところを歌ったところが好きです。
氣志團 綾小路 翔 夢見る頃を過ぎても
大好きな人が氣志團命の人で、
彼が歌うOne Night Carnivalを私はすごく愛してて。
前から気になっていたんだ、氣志團、綾小路翔。
曲は数年前から聴いていたけど、本読んで、改めてステキだなと思ったよ。
そしてかわいい。曲以上に、きゅんときた。
テンポもよくて、あっという間に読めるし、
とにかくすぐに One Night Carnival が聞きたくなった。
まずは翔やんの声で。それからもちろん、彼の声でも。
夢見る頃を過ぎても (アイスノベルズ)
退屈な日々を過ごしていた数学教師の布施は、入学式に派手に登場した二人組の片割れ、睦月に一瞬にして目を奪われた。
クールな睦月が自分の前で無防備に子供っぽい仕草を見せるのだが、それがかわいくてしょうがない。
高校教師と、生徒の恋物語です。
高校教師布施は、高校時代惹かれていた後輩(男)のことが心のどこかにあり、睦月が惹かれているのは自分ではなく、彼の友人である八繁だと思っている。
それなのに二人は体の関係を初めてしまうのですが、突然のはじまりだったとはいえそこに布施の持つ大人のずるさや、睦月の性への興味などがあり、あまり違和感なく感じられました。
途中、布施が学生時代好きだった男が八繁に似ていたことを知りショックを受ける睦月や、睦月がショックを受けたのは八繁に嫉妬したからだと思い喜ぶ布施などの描写が、体から始まった二人の気持ちがゆっくりと近づいていったのが判ってほほえましかった。
学園の生徒会の設定もちょっと変わっていて好きでした。
この作品は八繁が主役の別の作品のサイドストーリーのことですが、八繁のキャラクターも魅力的なので、そちらにも興味があります。ノベルズ化されていないようなのですが、早い時期に発行されて欲しいものです。
最近読んだふゆのさんの作品の中では一番印象に残った作品です。
夢みる頃をすぎても (小学館文庫)
20年以上前に描かれた作品ですが、たとえば「ハチクロ」が好きな人なら、きっと好きになる漫画だと思います。
本作をひと口で言うと、80年代の若者の、受験〜大学生活にいたる数年間の恋と青春を描いた連作短編集です。
学級委員長タイプのマジメな黄菜子と、落ちこぼれだけど人気者の恭一をはじめ、2人を囲む友人たちのキャラクターがすごくよかったです。実は引越しの時持ってこなくて手元にないんだけど。そして今、それをすんごく後悔しているところなのです。
この作品中、僕が好きなのは、受験ノイローゼで進学校から3流校に転校させられ、周囲に馴染めない猿渡君。受験もそっちのけで遊ぶ同級生たちの雰囲気に流されまいとひたすらガリ勉に徹する彼は、無理がたたってまたしても学校で倒れるハメに。
よくあるパターンでは、両親や教師の過剰な期待に応えるために、ガリ勉していたけど、実はイヤイヤだったんだよ、みたいな展開となりそうなのですが、彼の場合は違います。(以下うろ覚えだけど)猿渡君は自分が他より秀でた存在ではない、という自覚から、社会に出た時に優位に立てるように、得意な勉強でとりあえず受験戦争に勝っておこう、というきわめて戦略的な考えの持ち主なのですが、ノイローゼで倒れた時から親たちが逆に「やっぱり無理をさせすぎたのかしら」という彼にとってはありがた迷惑の気遣いとか、周りの「受験、受験、ってやりたいことも我慢してまで無理しなくていいのに」という誤解を持て余しているのでした。ガリ勉、というキャラはたいがいネガティブに(あるいは笑いのタネに)描かれるものですが、この猿渡君、客観的に自分をわかってた上でやりたいようにやっているヤツなんですね。むしろ、「どうして俺が被害者扱いされなきゃいけないんだ」といらついていたりする。こういう男、僕は好きだなあ。そう言えば、「ハチクロ」7巻に登場する小学生、倉持くんは猿渡君を彷彿とさせます。(余談だが、彼がはぐちゃんと花火を見に行く回は個人的にあのマンガの中でも最も感動的な回だと思う。)
話がそれましたが、とにかく受験だったり、恋だったり、恋のようで恋でない自己愛だったり、若者たちが持て余してる色んな感情が濃やかに描かれるこのマンガは、夢見る頃をすぎちゃったかもしれない人たちにとっては、まぶしい、まぶしすぎる作品なのです。