Love Affair [VHS] [Import]
エンパイアステートビルで待ち合わせをするという有名な話のリメイク版。邦題は「めぐり逢い」。メグ・ライアンとトム・ハンクスのSleepless In Seattleでメグが友達役のRosieと見て泣いている映画がオリジナルのようです。偶然、同じ飛行機に乗り合わせた男女が不思議な縁で恋に落ちる。二人とも婚約者がいるにもかかわらず…二人の人生はそこから少しずつ変わっていく。もう一度、笑顔で二人は再会できるのか。
正直言って、話の前半は面白くなかったです。もう見ないで他の映画に替えようかと思ったくらい。婚約者がいるのに、一生懸命に他の女性を口説こうとするなんて?と思ったから。しかも、かなりつれない感じなのに、そこまで頑張れるかなあ?と疑問が湧きました。二人がお互いの内面に触れあうところからは話もテンポがよくなって、最後まで楽しむことができました。有名な話なので、結末を知っている人も多いと思いますが、そこは見てのお楽しみP>個人的にはそこまでプライドが高くないので、「彼には言えないわ」という気持ちには素直に賛成できませんね。こういう恋もありなのかなとは思いますが。
ラヴェル:ダフニスとクロエ全曲
これだけ熱気に包まれた表現の『ダフニスとクロエ』はクリュイタンスとパリ音楽院管弦楽団の独壇場とも言える。それは春の夢にうなされているような極彩色の幻想と法悦にも例えられる。一口に言ってクリュイタンスは劇場感覚に極めて敏感で、柔軟なテンポの設定や曲想の盛り上げ方、各楽器の扱いや和声の処理にオペラやバレエにおける彼の豊富な舞台音楽の経験が活かされている。また劇場空間において、一種のカリスマ性で聴衆を煽動する術を熟知していた指揮者の一人だった。オーケストラからも幅広い表現力を引き出していて、繊細であっても決して脆弱にならず、この曲に相応しい生気に満ちた演奏が特徴的だ。1962年録音の音質の良さに加えて、今回のリマスタリングによってオリジナルの素晴らしさが見事に蘇った。
因みにこの曲は1912年6月8日に作品の依頼者でもあったディアギレフ率いるバレエ・リュス(ロシア・バレエ団)によって初演されたが、そのわずか10日前に彼らはニジンスキーの主演及び振り付けでドビュッシーの『牧神の午後』を初演しているし、1年前にはストラヴィンスキーの『ペトルーシュカ』を、更に1年後にはパリの楽壇を大混乱に陥れた『春の祭典』を初演した。こうしたバレエ・リュスの時として過激なまでの新創作バレエの潮流をラヴェル自身敏感に感じ取っていたに違いない。それだけに『ダフニス』においてもオーケストラにコーラスを純粋な音響として混入するなど、斬新な劇場効果を狙っているが、それはあくまで人間の感性を基準に作曲されたもので、それまでのバレエの伝統を覆そうとしたり、難解な理論や哲学を根拠に試みたものではない。それがたやすくパリの聴衆に受け入れられた要因のひとつだろう。