ベスト・ピアノ100
既に多くのレビュアーが書かれている通り、これだけを以って作曲家や演奏家が込めた意図を十全に味わうことは出来ないでしょう。
作品に対する浅い理解しか生まないのではと危惧される方がいるのも尤もです。
好みに応じて聴きかじる事で、得られるものも失われるものもある事は、クラシックとジャンル分けされている音楽に限った事では在りません。
ただ、音楽との接し方にはバリエーションがあって良いと思うので、本当に最初の一歩、「カタログ」を見る様に、
虚実の相見える「クラシックの権威」に捕らわれない機会を提供している、という価値はあるのではないでしょうか。
111 Years of Deutsche Grammophon/Various (Coll)
グラモフォンの本気を感じるボックスセットだ!
レビューがたくさんあるので
内容については今更、言うまでもなく
文句なく素晴らしいセットだ!
このセットの自分なりの楽しみ方を紹介する。
私の聴き方は、1枚目から順番に聴いている。
心から素晴らしい!と思うCDも多数あるが
興味がどうしてもわかないCDもある。
そんな時は、本、ネット、アマゾンのCDレビューを読んで
作曲者、演奏者、CDのエピソードなどを調べて
その後に改めて聴くと
CDの魅力を再発見できる。
そして、CDの感想を文章にする。
そうする事で、1枚づつのCDの内容を
確実に、自身のモノにできる。
その事で、クラシックの知識が驚く程に広くなった。
さらに、このセットの一流の演奏を毎日聴いていると
クラシック音楽はもちろんの事
他のジャンルの演奏の良さも、自然と解るようになっていた!
クラシックで言うと
同じ曲で、他の演奏者での違いが
はっきりとわかる感覚が自然と身に付いた。
さらに、他ジャンルのジャズの名盤と言われるCDを久しぶりに聴いたら
なるほど!たしかに名盤だ!と解るようになった。
以前、芸術は一流のモノを鑑賞しなさい、と言われたが
その事の大切さ、感動、喜びが
自分の感性の発達に結びつく事を体感できる
非常に優れたボックスセットだ!
バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻
2008年9月及び2009年2月 ミュンヘンにて録音。正に満を持してのポリーニの『旧約聖書』である。ポリーニは、リサイタルではこの平均律クラヴィーアを取り上げてきたが、いつものように研鑽に研鑽を重ねてついに自身納得の行くものと成り得たのがこのアルバムということになる。初めてのバッハ録音でもある。
多くのクラシック愛好家同様にぼくもほとんどの有名な『旧約聖書』を聴いてきた。その中でも印象に残っているのはやはりリヒテルとグールドで、特にグールドは、1962年1月10日に始まりおよそ7年後の1971年1月31日まで、のべ35日と24回のセッションをかけて録音している。例えば第一番ハ長調BWV846を取ってみても前奏曲は1962年6月7日、フーガは9月21日の録音である。それほどにグールドはこの自らの『旧約聖書』として残るこの録音にこだわったのだ。かくて第一巻は1965年にリリースされている。
ポリーニは多くのリサイタルの中で、グールドと同じ試みをこの曲について行なってきたのだと思う。しかもスパンはグールドより遥かに長く、およそ20余年とほぼ3倍である。その中で様々な前奏曲とフーガが試され、最後に完成したのがこの作品ということになるのだろう。
ポリーニらしい『硬質』の美しさに溢れるバッハである。録音の感じはリヒテルが実践した教会での録音を参考にしている感じがした。グールドやリヒテル同様にこれから何度も何度も繰り返し聴くであろうすばらしい演奏である。
ピアノ協奏曲第3番ハ短調 作品37 [DVD]
高いが、DVD2枚組みでボリュームたっぷりである。ベームの指揮姿はなかなかかっこいい。無骨だ。
ブラームスのピアノ協奏曲第2番はこのDVDではじめて聴いたが、第1番のほうがよほど良いと思う。アバドの指揮や、ポリーニのピアノがわるいのだろうか?
「皇帝」は曲のきらびやかさを損ねず悪くないと思った。
ショパン:12の練習曲 作品10/作品25
ショパンという人もよほど、ピアノがうまかったんでしょうね。これが練習曲集ですよ。スゴすぎます。特にOP10は1−12番までまるで組曲にように、畳み掛けてきます。ポリーニはすばらしいテクニックと冷静なコントロールで曲のもつ真のすばらしさを表現しています。どの曲も手抜きなし。お買い得ですよ。