流星のロックマン2 ベルセルク×ダイナソー(初回生産:「トライブアタックカード」“ジェノサイドブレイザー”同梱)
ロックマンエグゼシリーズの流れを組む流星のロックマン待望の第2作。3バージョンだった前作から今回は2バージョンに。通信すれば違うバージョンの要素も手に入るので買う方としてはこのほうがありがたいです。
エグゼシリーズを受け継ぐ作品だけに前作は戦闘などの評価が分かれましたが、個人的には何もかも楽しめたので続編は大歓迎です。ただ、依然としてネットや友達同士での通信を前提にしたブラザーバンドシステム(しなくても楽しめますが)が中心なので、そういう環境にない人にはどうかなと思います。あと前作のボリューム不足が改善されていればいいのですが…。
ベルセルクxシノビの方も書かれていますが、前作は出来の割りに値下がりが激しかったので今回はそうならないでほしいですね…。
ガンドッグゼロ リプレイ アゲインスト・ジェノサイド (Role&Roll Books) (Role & RollBooks)
世の中に数多くリプレイはありますが、これほどまでにストイックなTRPGリプレイがほかにあったでしょうか!(笑)
ガンドッグゼロ初のリプレイ本ということで購入しましたが、とにかく「おっさん」の哀愁が漂う、かっこいいリプレイでした。
これまでのTRPGリプレイでは、なにか物足りなかったと思う人には、ぜひ読んでもらいたい1冊ですね!
この本の著者は、ゲームデザイナーではありませんが(デザイナーは狩岡源)、ガンドッグゼロというTRPGの雰囲気をいい意味で醸し出しています。
華竜の宮 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)
同じ日の読売新聞の書評欄に載っていた、乾ルカ『蜜姫村』と一緒に購入。出来は雲泥の差。フィクション、特に現実から離れた設定の物語は周到に読者にウソを吐き通して、そこにいかに心情的なリアリティを立ち昇らせるか、それが肝になってくると思う。そこを全くやり切れていないのが『蜜姫村』、見事にやりきっているのがこの作品。両極端の作品なのに書評ではどちらも高評価なのは何なんだろう。
プロローグで舞台の設定が周到になされて物語が滑り出す。映画『ウォーターワールド』の様な世界だが温暖化のみで説明されるのでなく、地殻変動を原因とする「地球惑星科学」的なアプローチで語られる。
物語も単純な善玉対悪玉的な設定ではなく、陸上民 対 海上民、国家連合間の対立、組織上部 対 現場など周到に絡み合った舞台が用意されている。
物語を面白く展開している要素のひとつとして「アシスタント知性体」が人間の思考/行動を補助する設定がある。モノローグになるところが、主人公「青澄(あおずみ)」と彼のアシスタント知性体「ミキ」との会話で構成されることになる。むしろ「僕」という一人称を使うこのアシスタント「ミキ」、彼の方が主人公かもしれない。
他の登場人物との交わりも当然本人同士/アシスタント知性体同士との二層構造に。この設定が物語の展開のなかで非常に効いてくる。分量の多いこの本を一気に読ませるテクニックとしても見事に効果を発揮していると思う。
壮大な物語を通して考えさせられるのは、人類にとっての正義について。マイケル・サンデルのハーバード白熱教室の例題で出てきそうなテーマ。(偶然か意図的か挟み込まれた新刊案内のチラシにこの本の宣伝が載っていたり・・)
差し詰め人類が置かれた状況から逃れるために「功利主義」的な考え方で「幸福の最大化」を選択し続けた末の世界がこの物語の舞台ともいえる。青澄は彼の「美徳」を貫くため心身をすり減らしていく。そして「美徳」を貫いた結果が果たして正義であるのか青澄は常に懊悩する。
「美徳」がシンプルに美徳で終わるとは限らない現実世界でも起こる状況を、フィクションの世界にリアリティをもって立ち上げることに作者は成功している。見事にウソで読者を酔わせてくれる。SFの醍醐味だと思う。
作者はこの舞台を利用してまた物語を書く意思がある様子。複数の物語を紡ぎ出しても磨り減らない壮大で強固な世界を作者は用意出来たと思う。次回作が早く読みたい。オススメです。
ジェノサイド
この作者の作品を読むのは、13階段以来になります。
エンターテイメント作品としては、高評価です。
文章は平易で読みやすく、専門用語などの解説も丁寧です。
物語の展開もスピーディーで、ぐいぐい読ませる作者の力量には舌を巻きます。
一方で、ストーリーは破綻気味です。
本作では高度な知性の誕生がキーワードになるのですが、その『高度な知性』の知性が低いため、終始気になります。
詳細に書いてしまうとネタばれになるので避けますが、物語の発端からして無理があります。
しゃべることもままならず、まともに歩くことすらできない自らの生命を危険にさらす理由が弱すぎます。
そもそも、物語の根幹にかかわることですが、「日本の協力者」がちゃんと仕事していれば、主人公と韓国からの留学生が登場する必要性はありません。(製薬に関しては財団の力でどうとでもなるし、門外漢の研究者や大学院生に任せるより確実でしょう)
読み終えた感想としては、この『高度な知性』は結局何をしたかったのだろうかということです。
不完全な知性である我々には想像もつかないということでしょうか?
また、作者の日本人観が物語へ没入しきれない一因となっており、残念に感じました。
好意的に解釈するなら、現生人類の残虐性を際立たせるための描写なのかもしれませんが、完全に空回りしています。
・子供を殺戮するためだけに登場する日本人の傭兵
(狂人という以外なんの見せ場もないのに、なぜ高度な知性がこの日本人を選んだのか説明がない)
・何の脈略もなく出てくる朝鮮人蔑視の下賎な叔父と朝鮮人を賛美する立派な父親の対比
・何の脈略もなく出てくる南京大虐殺のくだり
etc
色々不満はありますが、頭を空っぽにして読むエンターテイメント作品としては、楽しめる作品だと思います。
PCゲーム『俺たちに翼はない』オリジナルサウンドトラック
名曲・良曲ぞろいの『俺つば』BGMを余すところなく収録した魅惑のサントラ。
タカシ編、鷲介編、隼人編、伽楼羅編、ヨージ編と、
各主人公のチャプターごとにまとめて順番に収録してくれているので、
自分の好きなチャプターの世界にじっくり浸ることができる。
また、本編では一部しか聞くことの出来なかったタカシ編と隼人編のEDだが、
このサントラに別途フルサイズで収録されているので、これも必聴である。
その上、脚本担当の王雀孫によるライナノーツもコメント盛りだくさんで、
音楽という面から俺つばの制作事情を垣間見ることができるのも嬉しい。
さっそく通勤・通学や作業のお供にして、朝でも夜でもどっぷり俺つばワールドにはまろう!