殺戮にいたる病 (講談社文庫)
ネットで絶賛されていて、近くの本屋のミステリーコーナーでも傑作と紹介されていたので購入。
以下、感想です。
最初の100ページ。
犯人側の視点からも描いていることから描写がいちいち生々しく目を背けたくなる。文章もとても丁寧だ。だが、つまらない。
次の100ページ。
あるかたが主人公にある提案をし、協力することに。ここでやっと話の方向性が見えてくるもののつまらない。
次の100ページ。
犯人の異常性が克明に描かれてる。ある程度予想外の展開はあったが、どんでん返しと言えるのか?
もう、あと十ページしかない。読むかなやむ。もったいない、読んでしまおう。
次のページ予想内。次のページも予想内。それが続き、これが傑作?と不安になりだしたところ、「あ!」
やられました(;・∀・)
こういうことだったんですね。冒頭の描写も、第一章も第二章も、この小説全て無駄な描写はなかったんだと思うラストは必読です。
ただ、そこまでが長かった……表現は的確で文章は読みやすいものの、二転三転の緊迫感がないことから、何度読むことをやめようとしたことか……
ここまで絶賛されていなかったら途中でゴミ箱にポイしてたと思います。ということで評価は星四つ。
麦の海に沈む果実 (講談社文庫)
「3月は深き紅の淵を」の中で、自分的に一番面白かった第4部「回転木馬」。
その中で触れられていた作品の単独版。期待通りに面白かった!
続きが気になり、一気に読みました。
でも・・・☆が4つなのは、ラストが思っていたよりアッサリしてたから。
それまでの展開からするとホント、あっさり感が強いな・と。
恩田先生の作品は皆、個性的で心惹かれるタイトルが多い!
『3月は〜』や今回の『麦の海に〜』はその典型。
ただし、やはりラストが少々弱め。
何度か読み直すと感じ方も違うかもしれませんが、一読目はどうしても
ラストに引っかかるかもしれません・・・。
それでも、読みやすさや読者を引き込む力はスゴイので、一読の価値はありです!
例外社会
著者がこれまで論じてきた社会・政治思想、文学から、昨今の格差、セキュリティ、テロリズムをめぐる議論をも縦横無尽に駆使し、21世紀の「例外社会」の形成過程を検証した大著。この「例外社会」とは、世界内戦(地球化された戦争)という例外状態を織り込んだ社会のこと。9.11同時多発テロ以降、例外社会化は急速に進んでいるというのが、著者の見立てである。9.11以降、国家による監視社会化が一挙に進み、市民もそれを進んで受け入れ、市民同士の相互監視も進行し、国家的監視と社会的監視の二重化という事態に至っているが、これこそ19世紀、20世紀とは異なる、社会の21世紀的なあり方なのである。
他のレビュアーの方も指摘されているように、あまりに多岐にわたる思想家、文学者、事件が扱われているためか、議論が錯綜しているように感じられ、読みやすい本とは到底言えない。また700頁を越える分量なので、笠井氏の評論文によほど慣れた人でもない限り、途中で投げ出したくなるのではないか。また、引用されている文章の解釈が恣意的に感じられる部分も少なくない。しかし、著者は研究者ではないので、それはそれでよしとすべきであろう。こういう本は、学問的な厳密さよりも、著者の思索そのものが何よりもが重要であるし、読者が思索するためのきっかけやヒントを得ることで満足すべきものだ。
ヘアピン・サーカス [DVD]
白熱デッドヒートと同時に購入。
同じ日本映画でもこれほど違うのかと思わせる良作です。
やはりスタッフ・キャストの車に対する思いが伝わってきます。
撮影技術としてはまぁ昔の映画というのを差し引いても、まずまず迫力は感じられます。
ヘンな早回しなどもなく、リアリティ重視なのがいいです。
主役の見崎氏も、役者は素人ということですが演技も上手くハードボイルドな雰囲気もあって適役ですね。
車好きなら見て損はないでしょう。