パロディ漫画大全
■トキワ荘通勤組として異才・長谷邦夫(ながたに・くにお)氏は、1970年前後『COM』『プレイコミック』等にパロディ漫画を数多く発表した。それらは曙出版の『アホ式』『バカ式』『マヌケ式』『絶対面白全部』、実業之日本社の『少年マネジン』等の新書判に収録され刊行されているのだが、既に絶版。探そうとすれば古書店で探求するしかなかった。しかもどれも古書価がべらぼうに高く、よほどの愛好者以外は手が出せるものではなかったのだ。それが、このたび水声社社長の英断で、長谷パロディ作品を完全網羅した形で、決定版が刊行された。この頁数、この充実度でこの値段は安い。そして装丁は戸田ツトム。素晴らしい、ひたすら素晴らしい。ただただ感謝、ああ幸せ!
氷の世界
詩人としての狂気さ、研ぎ澄まされ鋭い感性、どの曲も本当に天才の作品なわけですが、やはり「氷の世界」は邦楽史の金字塔ですよね。
恐ろしく凍えるような部屋の風景に、想起させるリンゴの赤と風に舞う叫び声、これらことばが描きだす絵は、まるでダダイズム、すさまじいインプレッションです。「氷の世界」の描写は永遠に残る前衛アートそのものでしょう。
そのサウンドもまた非常にグルーヴィでファンキーですし、改めて敬意を抱きます。70年代の日本のミュージシャン、ジャズやポピュラーシンガーなど全てこの時代の人たちの作品は、
飛びぬけて創造的なものが多いと思いますが、「氷の世界」は象徴とも言えるのではないでしょうか。
そして「氷の世界」はこのとき既にロックの頂きに君臨していると私は思います。よくロックを語ると教条主義に陥りそうですが、この「氷の世界」に関しては全てが、これぞロックだと思えます。
まあフォークとかロックとかジャンルでくくるのはナンセンスなのですが、
しかしここにこそロックがあるような気がします。これ以上の日本のロックって、、まあ数少ないでしょう。
ところで密かに「氷の世界」はプログレや昨今のロックの最前線にも及ぶ気がして、ぜひトム・ヨークなどに聴かせてみたいなと思ってしまいます。
ニッポン漫画家名鑑―漫画家500人のデータブック
中身は、あ〜始まる名鑑、人名辞典です。
だいたい一人半ページ位の分量ですが、手塚治虫氏や赤塚不二夫氏など超大物は、2〜3ページの分量になっています。
漫画家になるまでの経歴、デビュー作、代表作、作風などが簡潔に付されていて、ついつい読み続けてしまいました。
有名な作品でも読んでいないのが結構あるな、と思いました。
次に読む本を見つけるには良いかもしれません。
この本を読んでいて気づいたのですが、漫画家になるひとは、非常に早熟ですね。
中学生か高校生では殆どの人が、投稿などをしていますし、その頃既に漫画家を志しています。
日本の様々な文化サークルで漫画界は最も活況を呈している分野ではないでしょうか。
中学生や高校生の圧倒的な支持こそが、活力の源であることを感じますした。
漫画の構造学!―マンガ・まんが・漫画・劇画・万画・コミック・ポンチ絵「分析ノート」
■長谷邦夫(ながたに・くにお)さんは、かつて『COM』や『ヤングコミック』でパロディ漫画を発表し、根強いファンを持つ漫画家だ。
■本書は、「漫画学」の教科書である。あとがきによると本書の由来は次のようなものだ。長谷さんは、大垣女子短期大学、椙山女学園大学などで「漫画学」の講師をしておられるのだが、氏が初めて大垣女子短大からの依頼で98年4月から講義をするにあたり、教科書として適当な書物を探したが、今のわが国にそういう本はなかった。それで、自ら詳細なノートを作って、授業に臨むことになった。それをまとめたのが本書というわけだ。
■漫画の歴史や、コマ割り、登場人物の表情などの表現方法に至るまで、実作者ならではの視点と分析、語り口が絶妙である。
■長谷さん!は90年代半ばに、データハウスから『ニッポン漫画家名鑑』(94年3月)、『ニッポン名作漫画名鑑』(95年2月)、『ニッポン漫画雑誌名鑑』(95年6月)という三部作を出版しておられるが、それらを企画編集したのが田中立美さんという編集者だった。本書の版元・インデックス出版はその田中氏のおこされた出版社なのだ。すべての長谷ファンは、『パロディ漫画大全』(水声社)と共にぜひ本書もお読みいただきたい。
マンガ編集者狂笑録 (水声文庫)
■長谷(ながたに)氏は元トキワ荘関係者で、書評子が深く尊敬するマンガ家。現在はマンガ学を大学等で講義しておられる。
■本書は『ガロ』の長井勝一、『漫画少年』の加藤謙一、トキワ荘漫画家を育てた丸山昭、『少年マガジン』の内田勝・宮原照夫など今日のマンガブームの礎を築いた伝説的名編集者について書かれた実名小説集である。長谷氏ならではの視点で、マンガ界の熱い青春が描かれている。