モザイク
トランペットがリー・モーガンからフレディ・ハバードへ、ピアノがボビー・ティモンズからシダー・ウォルトンへと、ジャズ・メッセンジャーズのメンバーが移行。「チルドレン・オブ・ザ・ナイト」の冒頭での、ウォルトンのクールなピアノが曲のカッコよさを決定づけています。ウエイン・ショーターは良い曲を書きますが、その中でも五指に入る傑作でしょう。ウォルトンのピアノに続き、ショーターのテナーがテーマを吹き、そこへハバードとカーティス・フラー(トロンボーン)が絡んで深みのあるハーモニーを出す・・・完璧な展開に、何度聴いてもいいなあ~と思わせられます。
恋するサウジ―アラビア最近生活事情
サウジアラビアを知るための65章 エリア・スタディーズでは、生の生活情報の不足を感じたので本書を読んだのですが、残念ながら期待した情報は得られませんでした。著者は「古い情報に誤解している方も多い」「70ヶ国を訪問したが、こんなに親切で安全は国は無い!」「アメリカをそのまま持ってきたようなショッピングモールがある。英語も良く通じる」「常識の違いは、ポイントを抑えることで楽める」と感動を熱く語っています。素直に感動した気持ちを伝えたいのだと思いますし、パッケージツアーなどで観光する限りは著者と同じ体験が得られるかも知れません。なので水を差したくは無いのですが「テロが無い」とまで書くに至っては能天気過ぎると言えましょう(外務省の海外安全ページに本書出版当時のテロ被害情報があります)。
著者の視点には留意が必要です。著者はコンパウンドと呼ばれるショップ・医者・保育園・ジムなどが入った高セキュリティの外国人専用高級住宅に住んでおられた方です。治安が良く気持ちがいい国民と言いますが、教育・医療が無料で税金は無く、電気・水道はコストを度外視した安さ。人口の5.6%が勤務時間1日3時間の公務員。大半が国営企業で赤字は国家が負担。嫌な仕事は人口の25%いるとされる低給与の外国人労働者任せ。これでギスギスしてたらその方が異常に思えます。貧乏な国は親切も疑わなくてはならないが、サウジは豊かだからそんなことは無い、と何度も強調しているのは金持ち目線に思えてきます。全体として富裕者向け観光広報という感じです。友人のサウジ人との交流などの生活本音情報は無く、ましてやメイドの意見など聞いてみたいとも思わないのでしょう。例外もいるかも知れませんが恋はいつかは冷めるもの。単にサウジに旅行するだけなら本書だけで良いでしょう。サウジの実情を知りたい方は冒頭の書籍など、別情報にあたることは必須です。
ザ・メッセージ -砂漠の旋風- [DVD]
まずタイトル「ザ・メッセージ」だが「預言者が伝える
神のお告げ、神託」の意味。
(西アジアにおける、偶像崇拝を祈祷方式とする多神教に対し、
ユダヤ教、異端キリスト教、ゾロアスター教などが
流入して一神教信仰への気運が高まった頃の)
サウジアラビアのメッカにおいて、
妻ハディーシャのもとで商業(一説では羊飼?)に従事していた
クライシュ族出身のムハンマド(マホメット)が
40歳の頃(西暦610年)ヒラー山中の洞窟で(天使ガブリエル
の声を通じ)神の啓示を受けて唯一絶対神アッラー信仰(イスラム教)を
創始する。
偶像崇拝の否定と平等主義の主張から、クライシュ族(メッカの
商業貴族)の迫害をうけて、622年(イスラム紀元、元年)に
ヤスリブ(メディナ)に脱出、移住。そこで二つの部族の対立を
調停し、イスラム共同体を形成。630年にはクライシュ族を
降伏させメッカに戻り、(アラビア半島全域に)イスラム帝国を築く。
632年ムハンマド(マホメット)はその使命を果たし生涯を閉じる。
***あくまでムハンマド(マホメット)の伝記映画だが、イスラム教
側からキリスト教へのメッセージともなっており、このふたつの
宗教が、相反するものではないというシーンも強調されている。
イスラム教の信仰(「偶像崇拝につながる恐れ」)上の配慮から、
終始ムハンマド(マホメット)は
画面に登場しなく一般的伝記映画とは異なる作風ではあるが
、当時のアラビア半島の自然をはじめ、
人々の生活の様子や宗教事情、イスラムの考え方などが
具体的に示されていて、興味を引くシーンも多い。
***この映画はイスラム教の識者、歴史家、シーア派の首脳部などに
「史実に忠実」というお墨付きをもらっているらしく、更には
カダフィ大佐率いるリビア軍の全面的支援で撮影され、イスラム教と
それをバックアップする多くの人々とオイルマネー(約50億?)に
よって出来た映画らしいです。