神州纐纈城 (河出文庫)
まずその妖しさからして、興味をそそられた神州纐纈城。読めば読むほど深く広がっていく世界観。妖星伝に似た感じを受けました。すると後書きはなんと半村良さんでした。
宇治拾遺物語から役ノ行者、宗教的世界等、様々な設定はまさしく伝奇ロマンの決定版である。続きが気になってすぐに読んでしまい、未完である事に気付いた時には本当に残念でした。
剣、槍、仮面、謎につつまれた城。。。わくわくする展開のスピーディーさは、古めの文体を全く感じさせずに物語へ読者を引き込む。登場人物がまた皆一癖も二癖もありそうな感じを醸しだし、それが一層物語の魅力を引き立たせる。いわばこの興奮は幼少の頃に読んだ江戸川乱歩の少年向けシリーズや、横溝正史のミステリー物に通じる系譜なのであろうか?おぞましくも美しく、嫌悪しつつも同情してしまう。
生きたまま血絞り機械にかけられた人の血で、類い稀なる美しい布に染め上げられる纐纈布。血の池地獄は衣食住全てに満たされた極楽浄土。
頻繁な場面変換を駆使した物語構成。物語中盤からさらに加速を進める人物関係、血縁関係。うまいと感じました。ペースがだれない。
そして新たな謎の五臓丸!これまた人間の五臓六腑からつくる妙薬という奇想天外設定。読めば読むほど新たな伏線、新たな謎が!
大正エロ・グロ・ナンセンス趣味が好きな人にもオススメですが、全くその系統を読んだ事が無い人にもオススメです。未完なのが本当に残念です。
神州纐纈城―国枝史郎「神州纐纈城」より (1)
あの神州纐纈城を、あの石川賢がマンガ化!
完全描き下ろしで全ページみっちりきっちりびっちり
ハードでバイオレンスでアナーキーな石川賢世界が堪能できます。
しかし全四巻でページが足りるの?
神州纐纈城(下) (講談社漫画文庫 (い2-13))
時は戦国。霊峰富士の裾野に広がる密林を抜け、本栖湖湖上に聳える纐纈城。そこに住まうわ悪鬼羅刹の群れ。城主としか其の名を知られない仮面の男は業病を患い、その治療の妙薬を得るために、近隣の村々から人々をかどわかしては、その生血を絞り臓腑を食らうという。
纐纈城を脱出した甚太郎は、謎の思索家光明優婆塞に助けられ、辛くも一命を取りとめた。また、三合目の陶器師も優婆塞と出会い人切りができなくなる。
そして。。。纐纈城を生きて脱出したことがあるもう一人の男、蜂須賀小六の手引きにより、纐纈城を攻め入る織田信長の軍勢。
霊峰富士に抱かれた幽玄の魔境纐纈城にも、戦乱の炎は燃え広がる。そしてそれは、日の本の国を破滅に導く導火線になるのか!
常人なら近づいただけで爛れ死んでしまう纐纈城城主対織田機械化軍団。その激戦をよそに、正三郎は再び纐纈城を目指す。。。。次の城主となるために。。。。
数奇な運命に導かれ、複数の勢力が纐纈城を中心に、石川タイフーンとして荒れまくる。一気呵成に読み上げるべし!
神州纐纈城―国枝史郎「神州纐纈城」より (4)
完結しないストーリーだからこそ読者の想像力を刺激し傑作として読み継がれてきた小説を、完結しないイマジネーションの奔流を描き出す石川賢がコミック化。爆発力二乗。まさしく石川賢にしかできない世界。
感動させない。圧倒させる。捻じ伏せる。