鼻兎(1) (アッパーズKCDX (13))
おそらく、このレビューを見ている人は、ラーメンズのファンでしょう。
ラーメンズのコントでときどき垣間見る、刹那的切なさ。
鼻兎はそれが要所要所に見られます。
笑い と おもしろい はイコールではない と著者は言います。
この本は笑いではなく、おもしろいの要素が多いかもしれません。
そのためか これを見たあと、ラーメンズのコントを見て笑えることが少なくなりました。(いい意味で。)
思うに彼は 芸のある人 だが、お笑い芸人 ではないのだろう。(いい意味で。)
ラーメンズ DVD-BOX
「お笑い」にこの値段は高いだろう…
「その時」が面白いのだから、繰り返して見る必要ないだろう…。
ところがどっこい。
ラーメンズのコントは、2度目3度目になって、ようやく張り巡らされた緻密な伏線に気が付くのです。
それ故オチるまでの間(ま)ですら気が抜けない。
「!」の繰り返しが快感に変わるまで、そう時間はかかりませんよ。
ポツネンの音楽
Handmime Musicだけでなく、Gadget's Marchも原曲とは違います。
移調されて楽器がピッコロからフルートに変わっており、
テンポのややゆったりした優雅な曲に仕上がっています。
小人さんが軽快にトコトコと歩いていくような原曲バージョンを
楽しみにしていたので、収録されなかったのは少し残念。
それでも素晴らしい曲ばかりです。
中でもアナグラムを音で的確に表現したAnagram Musicは中毒気味になりますし、
東京の雪景色を目の前に見せるかのような叙情的なmaruのテーマは、
何度聴いてもすぅっと吸い込まれる心地がします。
小林賢太郎戯曲集―home FLAT news (幻冬舎文庫)
僕はラーメンズのビデオを沢山観ているので、個人的好みで五つ星を付けたくなるところなんですが。
著者の言うように、このコント達は、あくまでラーメンズの二人のための仕様になっている。ので、やはり二人の姿を想像しながら読むのが正しい方法だと思われる。だから、「ラーメンズって、おもしろいらしい」と聞いてこの本を手に取った人で、実際のコントを観たことがない人には、それほどおもしろくないかもしれない。よって、目を背けながら☆ひとつ減。
人間を観察し、人間について考察し、人間についてコントで実験&主張する小林賢太郎の戯曲集。実際のコントを観るときよりも、「著者の狙いを読む」という目的をはっきりと意識して読むと、おもしろい。
小林賢太郎テレビ 1・2 DVD-BOX
とにかくこのDVD-BOXは作品として完成度が高いです。制作者たちのこだわりが随所に見える力作です。
テンポよく進むコントたちが大きな物語を作っていて、まるで一つの童話を読んでいるような気分になります。
もしみなさんにお時間があるのなら、「1」「2」続けて一気に見ていただきたい。壮大です。
良質な物を作り続けるためのこだわりや苦悩が合間のドキュメントで見られるため、できあがった作品にどんどん引き込まれます。
いくつかの小さなひらめきから大きな作品を作る…物作りに関わる人なら思わず「あるある」と思ってしまいますね。
作り手としての小林賢太郎。演者としての小林賢太郎。どちらも充分に楽しめます。
品があり一癖あるタイトルロゴや、「2」のメニュー画面のちょっとした遊び心がお気に入りです。
できるなら何度も見返してほしいです。その度に新たな発見があります。見つけるたび出てしまうんですよね、
すごい…って言葉が。